診療案内

重症気管支喘息の治療

                       福岡県立こども病院アレルギー科呼吸科

科長 手塚純一郎先生 講演会より

 

 *難治性の重症気管支喘息にオマリズマブ(ゾレア)という、

              皮下注の注射が使えるようになりました。

 

①呼気NO(息をはいた時の一酸化窒素濃度)の値が35以上あると気管支喘息となります。この場合は吸入ステロイドが良く効きます。

 

②呼気NOの値が20以下ですと、吸入ステロイド薬だけでは気管支喘息は良くならないので、他の薬も必要になります。

 

③上記の呼気NOは気管支喘息の発作が出ていない時に測ることが大切です。

 

④スパイロメーターで呼吸機能を測りましょう。気管支喘息のお子さんで、自覚症状が無くてもスパイロメーターで呼吸機能が低下している方がいます。ですので症状が無くても呼吸機能のチェックは重要です。症状が無くても気管支喘息の炎症は体の中で続いているのです。

 

⑤呼気NOが高いとか末消血液の好酸球が高いなどが見られる重症の気管支喘息のお子さんにはオマリズマブ(ゾレア)が良く効きます。

 

⑥オマリズマブ(ゾレア)で重症の気管支喘息症状は良くなりますが、気道過敏性や呼吸器機能は良くなりません。

 

⑦オマリズマブ(ゾレア)は重症気管支喘息の季節性の増悪(春と秋)を抑制します。

 

⑧オマリズマブ(ゾレア)は、春に増悪する重症の気管支喘息の患者さんに効果が高いと言えます。

 

⑨オマリズマブ(ゾレア)の治療を受けることが出来るのは次のようなお子さんです。

 

 1)高用量の吸入ステロイドに加えて、複数の喘息のお薬を使っている。

 

 2)喘息の症状がコントロール出来ない。(下記のいずれか)

  A)毎日喘息症状がある。

  B)週1回以上、夜間の症状がある。

  C)週1回以上、日常生活に影響がある。

 

 3)血清中総IGE濃度が30~1500Iu/mlの範囲にある。

 

 4)アレルギーがある。ハウスダスト、ダニ、その他(昆虫、カビ、犬、猫、うさぎ)などに対してアレルギー反応がある。(花粉のアレルギー反応は適応になりません。)

 

 5)体重が20~150Kgの範囲にある。

 

⑩オマリズマブ(ゾレア)の主な副作用は注射した場所の赤みや腫れです。

 

⑪オマリズマブ(ゾレア)の重症気管支喘息のお子さんの対象年齢は6才からになります。

 

⑫オマリズマブ(ゾレア)は難治性の特発性の慢性蕁麻疹にも効果があります。

 この場合の対象年齢は12歳からになります。

 

 

小児気管支喘息ガイドラインと最近のトピックス

「小児気管支喘息ガイドラインと最近のトピックス」

千葉大学 小児科病態学 下条直樹先生講演会より 

 

①小学生の時に喘息があるお子さんは、成人してから50%が喘息が残っています。

 

②受動喫煙でも喘息を誘発します。例えば、家の外でタバコを吸っていても体に有害物質が付着しますので、家の中に入った時にこの影響で喘息を誘発するのです。

 

③喘息の治療は薬物による抗炎症療法(吸入ステロイドとロイコトリエン受容体拮抗薬)です。

 

④喘息では、環境調整が必要です。増悪因子の排除やアレルゲンの除去です。

 

⑤小学生の喘息のお子さんには、患者本人に喘息の病態を話して治療意欲を高めるのが良いでしょう。

 

⑥気道の炎症から気道過敏性から気流制限と喘息は進行していきます。

気道の炎症は呼気NOで判断でき、気道過敏性は運動誘発喘息があれば気道過敏性があると判断でき、気流制限は呼吸機能のフローボリューム曲線で判断ができます。

 

⑦喘息には、吸入ステロイドがファーストチョイスのお薬です。

 

⑧3歳までの喘鳴(ゼーゼー)の60%は6才で消失します。

 

⑨乳児喘息

1)両親の少なくともどちらかに医師に診断された喘息(既往を含みます)があります

2)β刺激薬の吸入後の喘鳴の消失があります

3)ロイコトリエン拮抗体受容薬の内服が治療のファーストチョイスで吸入ステロイドは2番手になります

 

⑩経口ステロイドは吸入ステロイドより早く効くので喘息の発作では使用するのが良いでしょう。これに対して、喘息と同様に喘鳴(ゼーゼー)をおこしてくるRSウイルスの細気管支炎はステロイドもβ刺激薬も効果はなく、酸素の吸入と点滴が良い治療法でしょう。

 

⑪喘息の悪化の原因と喘息入院の季節性は、ウイルス感染が多くなる秋に悪化して入院も秋に増えます。

 

⑫入院を要した喘鳴(ゼーゼー)におけるウイルスは、1才前のお子さんにもライノウイルスやRSウイルスが関与しています。

 

⑬3才までのウイルス喘鳴と6才児での喘息のリスクは、

3才までにRSウイルス感染(+)なら6才児での喘息は2.6倍、3才までにRV(ライノウイルス)感染(+)なら6才児で喘息は9.8倍になります。

 

⑭早期に複数アレルゲン感作しますと、喘息になる確率が高くなります。

 

⑮乳児期(生後6か月)早期に湿疹があるところに「ダニ抗原」が接触してダニの感作が発生すると気道アレルギーが発症します。したがって、乳児期早期の湿疹をステロイドで早期に治療することは、ダニの感作率を減らせることになり、気道アレルギー(喘息)の発症を抑えることが出来ます。

 

⑯3才までにアトピー性皮膚炎と食物アレルギーがありますと喘息の発症率が高くなります。

 

⑰抗IgE抗体薬(オマリズマブ)を使用しますと、春と秋の喘息発作を減らせることが出来ます。

 

⑱ダニの舌下免疫療法は、12才以上で使用することができ、喘息の伸展を防ぐことが出来ます。

小児気管支喘息のよりよいコントロールを目指して

国立病院 三重病院 藤澤隆夫先生講演会

①コントロール良好にみえても(症状が表にでていなくても)その中には実際には「EIA」(運動誘発性喘息)が40%くらいみられます。「EIA」は、普段は喘息の症状が出ませんが、運動しますと咳や呼吸困難や喘鳴(ゼイゼイ)が出るのが特徴です。

 

②「EIA」の治療はまず「抗炎症薬(ステロイドの吸入薬)」になります。

 

③β刺激薬には「気管支保護効果」があります。

 

④「アドエアー」は「ステロイド」と「β刺激薬」の両方含まれている吸入薬ですので「抗炎症効果」と「気管支保護効果」で「EIA」に効果があります。

 

⑤「軽症」な喘息や「安定した」喘息にみえても、実は「喘息」が重いことがあります。

 

⑥走ったり、運動したり、スポーツをしたりすると「喘息(EIA)」でどのくらい困っていますかと、お子さんに確認することが大切です。何故ならば、お子さんは走ったり、運動したり、スポーツしたりしている時に「喘息」の症状が出ていてもそれは運動しているせいで問題はないと考えていて、このことをお母様に話をしていないことが多いからです。

 

⑦「EIA]に効果があります「アドエアー」吸入手技が正しくされていませんと、「喘息」のコントロールは良くありません。「アドエアー」は「しっかり」と「深く」吸うころが正しい吸入方法です。

⑧アドヒアランスのよくないお子さんでは(治療をしたがらないお子さん)では「アドエアー」を実際に吸入して吸入した後の自覚症状の改善を体感させるのが一番良いでしょう。

~小児ぜん息・特に乳幼児ぜん息について~

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福井大学 眞弓 光文先生 講演

①お父さん、お母さんにアトピー起因(アトピー性皮膚炎、ぜん息、アレルギー性鼻炎)がない乳幼児ぜん息のお子さんの方が早くぜん息が治っていきます

②アトピー性皮膚炎や、食物アレルギーのない乳幼児ぜん息のお子さんほうが早くぜん息が治っていきます。

③血液検査で好酸球増多のない乳幼児ぜん息のお子さんの方がぜん息が早く治っていきます。

④内服のステロイドや気管支拡張薬の吸入で症状(ゼイゼイ、ヒューヒュー)の改善がみられない乳幼児ぜん息のお子さんは早くぜん息が治っていきます。

⑤細気管支炎の既往のある乳幼児ぜん息のお子さんの方が早くぜん息が治っていきます。

⑥乳幼児で短期間にぜん息の大発作(重症の発作)を反復する要因として細気管支炎の既往があります。

⑦乳幼児ぜん息と診断されたお子さんの中で、3~4年後に、ぜん息の症状が続いていたのは47%でした。

⑧乳幼児ぜん息と診断されたお子さんが寛解(ぜん息の症状がなくなり治った状態)に至ったのは、主に3~4才でした。

小児軽症ぜん息の適正マネジメントを考える

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小児軽症ぜん息の適正マネジメントを考える
Early Supporting Useを交えて
東京慈恵会医科大学 勝沼俊雄先生講演会

1.ステップの徴候を考えましょう。

軽症ぜん息と「運動誘発性ぜん息」(EIA)
①EIAがありますと気道過敏症が亢進して運動が苦しくて十分にできないことがあります。

②EIAにはロイコトリエン拮抗薬(オノン・キプレス)が最も有効です。(第一選択薬です。)

③EIAでは運動負荷しますと呼吸器機能が低下しますが、正常なお子さんでは呼吸器機能の低下はみられません。

④EIAには短期の使用でも長期の使用でもロイコトリエン拮抗薬(オノン・キプレス)の効果がみられます。

2.ステップ2への追加治療

①ホクナリンテープが良いでしょう。

②2~5才では風邪気味の時に早期のホクナリンテープを貼りますと、呼吸器の症状の改善んが良くなります。

③4~12才の軽症~中等度のぜん息のお子さんが、症状が不安定化した時の短期の追加治療する時にホクナリンテープがよいでしょう。

3.ステップ2からのステップダウン

①吸入ステロイド薬の間欠的吸入があります。これは症状の怪しい時だけ吸入ステロイド薬を使用するものです。

②吸入ステロイド薬の連日吸入が有効ですが間欠的吸入にも一定以上の効果があります。

 



4.ぜん息とアナフィラキシー

①アナフィラキシーの患者さん(お子さん)には「ぜん息」の既往が多い特徴があります。

②「ぜん息」を合併する食物アレルギーのお子さんには「アナフィラキシーが起きたら」的な実践的対策を提案しておくべきと思われます。

③食物アレルギーのお子さんが「ぜん息」を合併して「ぜん息」のコントロールが良くありませんと、アナフィラキシーを起こしやすい可能性があります。
この場合「ぜん息」のコントロールには「ゾレア」(抗IgE抗体薬)の使用がよいでしょう。

④食物アレルギーでアナフィラキシーで死亡するケースにはエピペンが効かないケースもあるので注意が必要です。

⑤食物アレルギーで「上気道(喉・気管支)」の収縮が強い呼吸器症状にはエピペンは効きますが「下気道(肺)」の収縮が強い呼吸器症状にはエピペンは効かずステロイドが効きます。

⑥食物アレルギーで「ぜん息」発作が強い時には要注意です。

気道ウイルス感染と小児気管支喘息

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気道ウイルス感染と小児気管支喘息

獨協医大 吉原 重美先生講演会より

 1.ウイルス感染によるぜん息の発症の予防効果がロイコトリエン拮抗薬(オノン)にみられます。

 2.ウイルス感染によって増悪するぜん息をロイコトリエン拮抗薬が予防します。

 3.ぜん息の危険因子として

 ①アレルゲン(一番多いのはダニ)
 
 ②ウイルス感染による呼吸器感染
 
 ③受動喫煙

4.アトピー型ぜん息は乳幼児には少なく学童期に多くみられます。



5.反復する「喘鳴」(ぜいぜい)はぜん息として早期にロイコトリエン拮抗薬で治療開始するのが良いでしょう。



6.乳児の反復する「喘鳴」(ぜいぜい)は、早期にロイコトリエン拮抗薬で治療開始して、学童期以降のぜん息の進展を予防するのが良いでしょう。



7.「喘鳴」(ぜいぜい)を繰り返している、お子さんは1~3才ですでに気管支の基底膜の肥厚(リモデリング)(気管支の内膜が狭くなった状態)を起こしています。



8.明らかなウイルス性の「喘鳴」(ぜいぜい)でも気管支の基底膜の肥厚は起きていますので、ロイコトリエン拮抗薬で早期に治療するのが望ましいといえます。



9.ぜん息の診断がついていますお子さんにロイコトリエン拮抗薬を投与しますと、ウイルス感染による「喘鳴」(ぜいぜい)の予防効果があります。



10.お子さんの皮膚の状態を良くしますと、呼吸器(肺・気管支)の状態も良くなります。



11.健常児のお子さんはRSウイルス感染に罹患しても、上気道の感染のみで終わり、下気道の細気管支炎にはなりません。



12.重症のぜん息では、過去に重症のRSウイルス感染(細気管支炎)があったお子さんに多くみられます。


13.RSウイルス感染による細気管支炎で気道上皮障害が強く起こりますと、その後にぜん息になります。



14.気道上皮障害の起こりやすい体質(遺伝的体質)があるお子さんが、ぜん息になりやすい傾向があります。



15.RSウイルス感染予防のシナジスを投与しているお子さんの方が、投与していないお子さんに比べて反復性喘鳴(ぜいぜい)は少なく、アトピー型ぜん息が抑制されます。



16.3才未満のお子さんでは、アトピー型多因子重症ぜん息で、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎・食物アレルギーの合併が多くみられます。



17.アトピー要因のある食物アレルギーのお子さんに

 ①TH2サイカイン阻害薬(IPD)

 ②抗ヒスタミン薬
 
 を投与しておきますと、ぜん息の発症を予防出来る可能性があります。
 ①の方が②より最近は効果があると考えられています。



18.9月1日から10月中旬にロイコトリエン拮抗薬を内服していますと、ぜん息の症状が悪化しにくいことがわかっています。

学童期 気管支喘息の治療戦略

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学童期 気管支喘息の治療戦略

獨協医科大学 吉原 重美 先生講演会

学童期ぜん息(5才~15才)

 1)ぜん息症状を気にすることなく日常生活をおくれていない患者さんは30%前後います。
 
 2)保護者の60%は現在行なわれているお子さんのぜん息の治療に満足していません。
 
 3)学童期のぜん息に行われている治療はまだ不十分なものが多い傾向にあります。
  (実際はもう少し上のレベルの治療が必要なお子さんが多いのが現状です。)
 
 4)学童期ぜん息の90%はアトピー型です。

 

 
 5)学童期ぜん息の治療は
 
 ①90%はアトピー型なので診断と治療がしやすい傾向にあります。
 
 ②アトピー型の学童期ぜん息では吸入ステロイド薬が良く効きます。
 
 ③軽い症状のうちから治療をしましょう。
 

6)受動喫煙や運動でぜん息の症状が出るのは気管支の壁が厚くなり、気道が狭くなるリモデリングという状態が起きているサインです。
 
 7)学童期にぜん息の症状が重いと、リモデリングが進行しています。
 
 8)アレルゲンにより気道の収縮が起きると、リモデリングが起こります。
 
 9)ゼイゼイとぜん息の発作を繰り返しているお子さんは、リモデリングが進行しています。

10)マイコプラズマ感染症でも、気道過敏性が亢進しますので、ぜん息が起こりやすくなります。

11)ぜん息の症状が消失していても、気道過敏性だけではかなり長期に残っていますので、吸入ステロイド薬でしっかりと長期間治療することが大切です。

12)ぜん息の気道過敏性を改善してぜん息の発作を未然に防ぐためには、長期間のコントロールを維持する必要があります。

13)気道収縮を繰り返していますと、気道のリモデリングが進行しますので、お薬による治療を継続すると共に、周辺環境の完備(例えばダニ対策や周囲の禁煙)が大切です。

14)軽症~中等度のぜん息では吸入ステロイド薬の方がロイコトリエン拮抗薬(オノンやキプレス)より症状のコントロールが良く、呼吸機能の改善も良い傾向にあります。

15)運動誘発性ぜん息では、吸入ステロイド薬はロイコトリエン拮抗薬よりも、運動誘発の気道収縮の抑制効果が高いのが特徴です。

16)吸入ステロイド薬はロイコトリエン拮抗薬に比べて呼吸機能の改善が大きい傾向にありますので、ぜん息における第一選択の治療薬です。

17)学童期ぜん息で吸入ステロイド薬がそれほど有効でない患者さんも一部いますので、その場合にはロイコトリエン拮抗薬やテオフィリンの併用も必要です。

18)学童期ぜん息の患者さんで、ぜん息の症状がある患者さんで、小学生~高校生での吸入ステロイド薬の使用率が低いのですが、本来ならば吸入ステロイド薬で治療されるべきものです。

19)学童期ぜん息で十分な治療を受けていない(吸入ステロイド薬未使用)の患者さんが依然として多いのが現状です。
   特に中学生では全く治療を受けていないぜん息の患者さんが80%近くを占めています。

20)思春期に入るまでの十分な吸入ステロイド薬の治療を続けていくことが大切です。

21)5才~15才のぜん息の患者さんに対して、今までの薬剤を中止してパルミコート吸入剤に変更したところ、患者さんのぜん息症状の改善とその保護者の満足率が良くなっています。
   さらに病院を受診する回数が著明に減りました。

22)他の吸入ステロイド薬をすでに使用しての患者さんに、パルミコート吸入剤の単独治療による治療を行ったところ、開始から4週間までにぜん息症状の改善とその保護者の満足度の改善がみられました。

23)学童期ぜん息のコントロールを良くするには
 ①アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎 
 ②月経
 ③肥満
 ④ステロイド薬拮抗性
に注意することが重要です。

24)早い段階から吸入ステロイド薬の使用を検討して、思春期に入るまでに、ぜん息を完全にコントロールすることがとても大切です。

25)ぜん息は学童期以前にしっかりと治療してコントロールしておくことが大切です。

小児気管支喘息の自然歴を考える早期介入と治癒は可能か?

~国立三重病院 藤澤隆夫先生講演会より~

①お子さんにフィラグリンの遺伝子異常がありますと、ぜん息の発症のリスクになります。お子さんのフィラグリンの遺伝子異常がありますと「ぜん息」の発症を1.8倍の頻度に増加させます。

②お子さんで「アトピー性皮膚炎」と「ぜん息」がありますと、さらに「ぜん息」の発症のリスクが高くなります。

③お子さんにフィラグリンの遺伝子異常がありますと「ぜん息」や「アレルギー性鼻炎」のリスクを高めます。

④お子さんでは、ぜん息予防にスキンケアが大切です。

⑤お子さんのアレルギー性鼻炎や非アレルギー性鼻炎は「ぜん息」と関連があります。

⑥お子さんの鼻の通りやすさと「ぜん息」のは関連があります。お子さんの鼻が通りにくいと「ぜん息」が増えてきます。

⑦お子さんに鼻炎がありますと炎症が鼻から始まります。

⑧乳幼児期のウイルス感染にアレルゲンに暴露して、アレルギーがおこりますと「ぜん息」が発症します。

⑨「ぜん息」のお子さんは、感染によって「ぜん息」の症状の悪化が多い傾向があります。

⑩より多くの種類の微生物に暴露しますと「ぜん息」の発症が予防されます。例えば農場に住んでるお子さんは様々な細菌に接触しますので「ぜん息」の発症がゆるい傾向になります。

⑪3才の時に吸入ステロイドをたくさん使用を必要としているお子さんは、気管支の基底膜が肥厚く気管支の壁が厚くなっている状態にいます。つまりぜん息が進行しているのです。

⑫ロイコトリエン拮抗薬(キプレスやオノン)を2~5才のお子さんに連続投与しますと、「ぜん息」の悪化は少なくなります。

⑬ロイコトリエン拮抗薬(キプレスやオノン)は、お子さんの「ぜん息」の急性発作に使用しても「ぜん息」の症状の改善に効果があります。

⑭ロイコトリエン拮抗薬(キプレスやオノン)は、早期に使用を開始しますと「ぜん息」の発症を防ぐことが出来る可能性があります。

⑮1才未満でウイルス感染によっておこるぜん息のようにゼイゼイするお子さんにロイコトリエン拮抗薬(キプレスやオノン)を早期に使用しますと「ぜん息」発症の予防に効果が出るかもしれません。

小児気管支喘息

日本大学 橋本光司先生講演会

1.抗IgE抗体(オマリズマブ)による治療の効果は
 
 ①ゴキブリやチリダニのアレルギーのあるお子さんには有効です。
 
 ②秋と春の喘息の増悪を予防して、その他の治療薬が減少出来ました。

2.ステロイド抵抗性重症喘息には

 ①テオフィリン療法も良いでしょう。

 ②マクロライド少療法も良いでしょう。

 ③シクレソニド(オルベスコ)の吸入ステロイド療法も良いでしょう。

3.幼児期に過体重(肥満)がありますと、8才時点での「喘息」及びアレルギーの発症のリスクが増えます。
 8才児に肥満がありますと「喘息」になりやすくなります。

4.重症喘息では
 
 ①症状は急速に悪化した時にはビタミンDの値が低くなっています。

 ②肺機能も低下しています。

 ③ビタミンDが低いと気管支の壁の粘膜が肥厚して、気管支の内径が狭くなるリモデリングという状態が進行しています。

5.5才未満に使える吸入ステロイド薬のパルミコート吸入薬は

 ①連日投与した時と風邪をひいて喘息が悪化した時だけ投与した時で比べてみた場合の経過に差はありません。

 ②パルミコート(0.5㎎)吸入薬を2週間の短期に投与でも良いでしょう。

6.遺伝子騎乗がある喘息のお子さんでは、吸入ステロイド薬が効きにくい場合があります。

7.中等度~重症の喘息のお子さんの急性発作に対して抗コリン薬(スピリーバ)を使用しますと、症状の改善が良いことがあります。

小児ぜん息の最新治療

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富山大学 足立雄一先生講演会より

①ウイルス感染がありますと「ぜん息」の発作時に使用するβー2刺激薬(メプチン)が効きにくくなります。

②乳幼児のウイルス感染によるぜん息発作は、内服のステロイド薬の効果はみられません。

③上気道感染罹患時の抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)の間欠的投与は、ぜん息発作による医療機関への受診を減らせる効果があります。
(上気道感染時に抗ロイコトリエン拮抗薬をその時だけ内服しても効果があるということです。)

④ぜん息のお子さんに抗ロイコトリエン拮抗薬を継続して内服していますと、感染症の合併を低下させて発作時に使用するβー2(メプチン)の頓用使用を減らせる効果があります。

⑤運動や大笑い・泣いた後・起床時に一過性にみられるがすぐに消失する咳や喘鳴(ゼイゼイ)は、これも「ぜん息」の軽微な症状ととらえないといけません。

⑥ぜん息の症状のコントロール目標は発作時のβー2頓用使用の減少または必要がなくなり、昼夜を通じて「ぜん息」の症状がないことです。

⑦ぜん息の症状が改善がみられない場合は、次のことについての注意が必要です。

1)お子さんの近くにタバコを吸っている人がいないか。
2)お子さんの近くにペットがいないか。
3)タバコやペットは「ぜん息」には危険因子ですので、回避できているかどうかの確認が必要です。
4)ステロイド吸入薬を正しく出来ているかの確認が必要です。適切な正しい吸入が出来ていませんと効果がありません。
 「エアロチャンバー」や「VORTEX」などの吸入補助器具を使用するとより吸入効果が上がります。

⑧鼻炎のあるお子さんには「ぜん息」の有症率が高くなります。

⑨鼻炎の重症度が増しますと「ぜん息」の有症率が高くなります。

⑩鼻炎をもっているお子さんは鼻炎のないお子さんに比べて3倍くらい「ぜん息」になりやすくなります。

⑪鼻炎をもっているお子さんは鼻炎のないお子さんに比べて6倍くらい「重症のぜん息」になりやすくなります。

⑫鼻炎を合併している「ぜん息」では吸入ステロイド薬よりも抗ロイコトリエン拮抗薬の方が良く効く傾向があります。

⑬鼻炎がお子さんに残っていますと、将来大人になった時に「ぜん息」になる可能性があります。

⑭点鼻のステロイド薬は全身に回ることはありませんので、吸入ステロイド薬と点鼻のステロイド薬の併用は問題ありません。
(併用することでステロイドの副作用が増えることはありません。)

小児軽症ぜん息におけるツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)の位置づけ

~獨協医大 吉原重美先生講演会より~

①軽症ぜん息であっても積極的に治療することが大切です。

②軽症ぜん息は軽いぜん息という意味ではありません(軽症ぜん息でも小児では死亡する例があるからです。)

③ぜん息の治療は吸入ステロイド薬とツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)の併用が重要です。

④ぜん息の症状が良くない時には、朝方の呼吸器機能が低下してきますが、このような時に、吸入ステロイド薬を倍量に増やすよりも、吸入ステロイド薬にツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)を追加した方が、ぜん息の呼吸器症状がより改善してきます。(呼吸機能が改善してきます。)

⑤吸入ステロイド薬とツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)の併用は軽症から中等症持続型のぜん息のお子さんにおいて、吸入ステロイド薬の倍量をするよりも、朝方の呼吸器機能の改善がみられます。

⑥軽症ぜん息においては、呼吸器症状の増悪や急性のぜん息発作が予見される時から、症状が消失するまで、しっかりとツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)を使うことが、ぜん息のコントロールを良くする可能性があります。

実臨床に即した小児軽症ぜん息のマネジメント

~東京慈恵会医大 勝沼俊雄先生講演会より~

何故、軽症ぜん息を考えるのでしょうか。
①小児のぜん息の75%が軽症のぜん息です。
②ほぼ連日ぜん息の症状があっても、90%のぜん息のお子さんは、調子が良いと評価しています。つまり過少評価になっているのです。
③20歳未満では、軽症のぜん息であっても、その死亡率は重症のぜん息と、あまり変わりはありません。
④軽症のぜん息患者さんの重症の増悪発生率は、成人では0.77/人/年であり軽症のぜん息といっても重症化するので注意が必要です。
⑤お子さんの軽症のぜん息の、およそ4割は成人になってもゼイゼイとぜん息のは発作をおこしてきます。
⑥ぜん息の症状が出てから2年以内にステロイドの吸入薬を開始した方が発作から2年以降にステロイドの吸入薬を開始したグループより呼吸機能の改善が良い傾向にあります。
⑦2歳過ぎから、お子さんのぜん息では気道の壁が厚くなってくるリモデリングという状態が始まります。リモデリングがおきてきますと空気の通り道である気道が狭くなりますので、ぜん息の悪化の原因になります。
⑧咳やゼイゼイや呼吸困難などの症状が出て不安定な時には、現在のぜん息の治療薬に追加のお薬を加えなければいけません。例えば吸入ステロイド薬を使用しているお子さんならホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)の追加治療をすると、ぜん息の症状は改善します。
⑨隠れ軽症のぜん息が多く潜んでいる可能性が十分にあります。
⑩ホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)は追加治療として一時的に使用するのは良いのですが、このテープを長期にわたって使用するのは、喘息死を高める可能性がありますので適切ではありません。
⑪ホクナリンテープのジェネリックのツロブテロールテープを使用していて、ぜん息の症状の改善が不十分な時は先発品のホクナリンテープに変更するとぜん息の症状が良くなります。

気管支喘息における末梢気直病変の病態と治療

札幌医科大学 田中裕士先生講演会より

①7歳の時に重症の「ぜん息」であったお子さんの、50歳時の時点での慢性閉塞性肺疾患(タバコ病)や重症持続型の「喘息」の発症のリスクは「32倍」と高値であります。すなわち7歳までの小児のうちの「ぜん息」のコントロール(治療)が、とても大切になるのです。

②走った後の息切れや、風邪を引いた後の長引く咳は「ぜん息」の重要な症状になります。

③ステロイドの吸入薬は、お薬の粒子径(大きさ)が小さい方が、肺の末梢の細かい気管支までお薬が到達しますので、例えば今使用しているステロイドの吸入薬で 「ぜん息」の症状が改善しない時は粒子径(大きさ)のより小さいステロイドの吸入薬に変更すると良くなることがあります。

④肺の中の末梢の細かい気管支は、とてつもなく広範囲でありますので、肺の中の中枢の太い気管支が治っても末梢の細かい気管支が治らなければ「ぜん息」は良くなりません。

⑤肺の中の気管支の病度は不均等でありますので、気管支の壁が炎症(火事)で厚くなっている場所もあれば、全く正常の気管支になっている場所もあり、これらが混在しているのです。

⑥例えば、肺の中の気管支の全てが病変になってしまったら、人間は死亡してしまうのです。

環境とアレルギー

国立病院機構福岡病院~小田嶋博先生講演会より~

①家族のアレルギー患者さんが多いほど、お子さんは「ぜん息」になりやすくなります。

②妊娠中にお母さんがアレルギーの症状があると、生まれてくるお子さんはアレルギーを起こしやすくなります。

③秋や冬に生まれたお子さんの「ぜん息」の頻度が高い傾向にあります。

④妊娠中にお母さんに発熱がみられますと、生まれてくるお子さんはアトピー性皮膚炎になりやすくなります。

⑤3歳児のお子さんの場合、保育園に預けられているお子さんの方が、お母さんやおばあちゃんが自宅でみているお子さんに比べて「喘息」の発症率が高い傾向にみられます。特に男の子に多くみられます。
⑥家族に喫煙している方がいると男の子は「ぜん息」になりやすくなります。

⑦完全母乳栄養のお子さんが、ミルク栄養のお子さんに比べて「ぜん息」の有症率が低い傾向にあります。

⑧お母さんが喫煙していますと、お子さんのぜん息の有症率が高くなりますし、生後4か月の赤ちゃんの場合には風邪をとてもひきやすくなります。

⑨血液検査でアレルギーの要因を示すIgEの値が高いと「ぜん息」はその後に症状の改善はみられません。

⑩小学校1~2年の時にアレルギー性鼻炎(花粉症)がありますと、「ぜん息」は治っていくことは難しいと考えられます。

⑪小学生のアレルギー性鼻炎の多くは「ダニ」が原因です。

⑫「ぜん息」の症状がない時でも小学生では20%くらいは運動活発性ぜん息があります。つまり普段は「ぜん息」の症状は出ないのですが、運動をすると「ぜん息」の症状の咳が現れるのです。

⑬「運動トレーニング」をする事で、「ぜん息」の症状は改善します。

⑭思春期になりますと「ぜん息」のお子さんは呼吸機能が悪化していきます。「ぜん息」は元の正常の状態に戻らなくなっているのです。

⑮家族の喫煙がありますと、お子さん自身も喫煙をしていく傾向がみられます。

⑯妊娠しますと「ぜん息」のお母さんは、「ぜん息」が悪化することがあります。(全体の約25%が悪化します)

⑰うつ傾向がありますと「ぜん息」と「アレルギー性鼻炎」の有症率が高校生で増えている特徴があります。

小児ぜん息の診断と治療

~群馬大学 荒川浩一先生講演会より~

Ⅰ乳幼児ぜん息における問題点
①乳幼児の肺と気管支
1)乳幼児はもともと空気の通り道が狭くなってます。
2)呼吸をするための筋力の発達が未熟ですので、気管支を拡げるお薬の効きがよくありません。 
3)脱水におちいりやすい傾向があります。

②慢性肺疾患(BPD)
未熟児の赤ちゃんはBPDになることが多いです。
BPDの急性の喘鳴には短期間のステロイドの飲み薬が効果がありますが、吸入ステロイドによる喘鳴の予防効果はみられません。

③喉頭軟化症
食事や運動の時に咳や喘鳴の症状が強くなりますが、寝ている時に症状が全く出ないのが特徴です。咽頭がまだ未熟なためにおこるのですが、成長とともに症状が消去していきます。

 
④慢性気管支炎
受動喫煙による慢性気管支炎は、受動喫煙から避難できる生活状況になりますと喘鳴がよくなります。

Ⅱ年長児のぜん息における問題点
①百日咳と咳ぜん息が間違われていることが多くあります。

②マイコプラズマ感染症後の胃食道逆流症による咳には、胃炎や食道炎のお薬であるガスターがとても良く効きます。

③胃食道逆流症の疑いがある咳とは~
A)大笑いの後に咳や喘鳴がみられます。
B)一度、咳がはじまるとしばらく持続します。
C)ぜん息のお薬による症状改善の効果があまりありません。

④心因性のぜん息もあり、次のような特徴があります。
A)寝ている時には咳は全く出ません。
B)自閉症の症状として咳が出てくることがあります。
C)知らない人と話をするのが苦手です。
D)学校で友達とコミュニケーションが良く出来ません。
E)自分の感情をうまく表現出来ません。

小児のぜん息コントロールの評価と治療法の選択

群馬大学  荒川浩一先生講演会より

①お子さんの「ぜん息」では、軽微な症状がみられないことがぜん息の状態が良好であるといえます。
軽微な症状とは咳やぜん息・運動・大笑い・泣いたとき・起床時に一過性にみられるが、すぐに消失してしまうものを指しています。

②治療目標は
a.症状がコントロールされていることです。
1)β2刺激薬(発作時の頓服薬)の必要がないことです。
2)昼夜を通じて症状が全くでないことです。

b.呼吸機能が正常化していることです。
1)運動したりエアコンの冷たい冷気を吸ってもぜん息発作がみられないことです。

③肥満または肥満症のぜん息のお子さんは
a.吸入ステロイド薬の効果が低下する傾向にあります。
 吸入ステロイド薬の使用初期には効果がみられますが、継続していくと効果がおちてきます。
b.治療はぜん息の治療(吸入ステロイド薬)も必要ですが、まず第一に肥満の治療をすることが重要です。

④ぜん息のお子さんの家族背景に喫煙する方がいますと、お子さんは受動喫煙による慢性気管支炎をおこしてぜん息が続くような症状がでてきます。

⑤受動喫煙のぜん息のお子さんは、吸入ステロイド薬の効果が低くなってしまいます。

⑥受動喫煙のぜん息のお子さんは、LTRA(ロイコトリエン拮抗体:キプレス)の内服効果が高くなります。

⑦ぜん息のお子さんで一番大切なことは、お子さんが受動喫煙にさらされないようにすることです。

⑧運動するとぜん息の症状が出てくる運動活発性ぜん息(EIA)のお子さんでは、ステロイド薬の吸入と気管支拡張剤の吸入が一緒になっているアドエアなどでEIAの症状を改善してから、ステロイド単独の吸入薬へ変更していくのも効果があります。

成人ぜん息から見た小児ぜん息

~小児ぜん息を成人へキャリーオーバーさせないために~
国立相模原病院

~秋山 一男先生講演会より~

成人ぜん息のリスクファクター(危険因子)は、次のものがあげられます。

 ①アレルギー性鼻炎
 ②肥満
 ③喫煙
 ④ペット
 ⑤女性(特に30~39才の女性)

成人ぜん息の中でも20才代のぜん息は、小児発症のぜん息が多いですが40才以降のぜん息は、成人になってから初めてぜん息になる人が多い傾向があります。

13才以降発症の小児期発症の成人ぜん息は54%が治りません。特に男性より女性、アレルギー性鼻炎のある人、ペットを飼っている人、肥満の人では顕著にみられますので、注意が必要です。
また、スナック菓子を多く食べる人や、コーヒーや紅茶に砂糖を入れる人に多い傾向があります。

12才以前発症の小児期発症の成人ぜん息は37%が治りませんが、13才以降発症の小児期発症の成人ぜん息の54%に比べると治る確率が高くなります。

小児期発症の成人ぜん息はアトピー型(アトピーというアレルギーの素因をすでに持っているアレルギー)が多い特徴があります。
小児期発症の成人ぜん息は、軽症でアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の合併が多くみられます。

成人発症の成人ぜん息は重症例が多くみられます。
成人ぜん息は、病院を受診した時に若くて症状の軽い人が治っていきます。
成人ぜん息は、吸入ステロイドの使用開始までの期間が長いとぜん息は改善しにくくなります。
(吸入ステロイドの早期開始は、ぜん息の症状と進行を防げる可能性があるのです。)

成人ぜん息の炎症によって、すでに気管支の壁が肥厚している人では、吸入ステロイドを使用してもぜん息の改善効果はあまりありません。
ですので、ぜん息は吸入ステロイドを早期に開始することが大切なのです。

小児期発症の成人ぜん息は、喫煙をしている人が意外に多く、肺気腫の合併も多くみられます。
成人ぜん息では、禁煙がとても大切です。

乳幼児ぜん息の長期管理

~東京都市小児総合医療センター赤澤晃先生講演会より~

乳幼児のお子さんの「ぜん息」ではいくつかの大切な事があります。

①じゅうたんは止めましょう。

②布団に掃除機をまめにきちんとかけましょう。

③ペットは飼わないようにしましょう。

④アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を合併してきますと、ぜん息が起こりやすくなります。

⑤家族の喫煙は避けた方が良いでしょう。家族の喫煙はお子さんの受動喫煙となり「ぜん息」を発症しやすくなりますので防いだ方が良いでしょう。

⑥兄弟姉妹が多いお子さんは「ぜん息」は少ない傾向にあります。

⑦ダニは出来るだけ除去しましょう。「ホコリ」を減らしてダニ対策をすると「ぜん息」には良いでしょう。

⑧お子さんの両親が過去に「ぜん息」であった場合や、お子さん自身に医師によって診断されたアトピー性皮膚炎があったりしますと、お子さんが6才になった時点で「ぜん息」になりやすいという特徴がみられます。

⑨乳幼児の「ぜん息」は平均で12.7%みられていますが、長期にわたってのお薬の治療が望ましいとされている「ぜん息」のお子さんのうち36%しか実際にはお薬が使用されていません。

⑩乳幼児の「ぜん息」にはステロイドの吸入薬を処方されているお子さんの1/4はあまり実施されていません。

⑪乳幼児の「ぜん息」は実際に、お薬の治療が必要なお子さんのかなりの割合の方が現実には治療されていません。

食物アレルギーと気管支喘息 

国立病院機構 相模原病院 海老原元宏先生講演会より

①食物アレルギーのお子さんの「ぜん息」合併率は高い傾向にあります。

②食物アレルギーにみられる赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、ぜん息発症の危険因子(リスクファクター)となります。

③ぜん息がありますと、食物アレルギーの重症化の危険因子(リスクファクター)となります。

 食物アレルギーによるアナフィラキシーショックで死亡したお子さんには「ぜん息」の合併症が多くみられます。

④アトピー性皮膚炎の治療をきちんとしておくと皮膚からの食物の侵入を抑えられるので、ぜん息の発作を抑えられる印象があります。

食物アレルギーに合併している「ぜん息」はきちんと治療しておくことが大切です。

⑤食物アレルギーで「ぜん息」を合併することが多いのは、牛乳アレルギーや卵アレルギー・小麦アレルギーのお子さんですが、この中でも牛乳アレルギーのお子さんの「ぜん息」の合併症が最も高い特徴があります。
⑥軽い食物アレルギーより重症な食物アレルギーの方が「ぜん息」の合併症が高くなります。

⑦アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併していてまだ「ぜん息」になっていない1才未満のお子さんは、その後の「ぜん息」の発症率は20%と高く男の子に多くみられます。

⑧3才のお子さんの「ぜん息」の危険因子(リスクファクター)は、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーになります。

ぜんそくのステップダウンと治療中止の目安

国立病院機構  三重病院  

 藤澤 隆夫先生 講演会

①ぜんそくは咳・ゼイゼイなどの見かけの症状が改善していても、気管支などの気道の正常化ができていないので治療は続けて必要です。

②吸入ステロイド「アドエア」はぜんそくのコントロールを良くするには「6週間」かかります。

③思春期ぜんそくで吸入ステロイド薬を中止した50%の方は、ぜんそく症状が再燃してきます。

④重症ぜんそくでは、長期間にわたる吸入ステロイド薬の治療が良いことがわかっています。

お子さんが長期間に吸入ステロイド薬を続けて使用すると成人した時に、ぜんそく症状が軽い傾向があります。
子どもの頃にぜんそくが治っても成人になってから再燃することが多いです。

⑤成人のぜんそくは、子どもの時のぜんそく発症年齢が低いことが多く、重症のぜんそくだったことが多い傾向にあります。

⑥ぜんそくのお子さんで治療を減らすタイミング(ステップダウン)としては、症状が3ヶ月以上安定したら考えるとよいでしょう。

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