診療案内
アレルギー性鼻炎とぜん息
福井大学 藤枝重治先生講演会より
①2才未満のアレルギー性鼻炎は
1)スギ花粉症のおこる2,3,4月生まれのお子さんに多い傾向があります。
2)2才未満の2~6%にアレルギー性鼻炎のお子さんが実際にいらっしゃいます。
(ちなみに20代でのアレルギー性鼻炎の患者さんは30%に増えています。)
②アレルギー性鼻炎の人は食物に注意しましょう。
1)アレルギー性鼻炎に良い食べ物として
魚、ヨーグルト、乳酸菌、旬のフルーツ、おろしそば、にんじん、ほうれん草、ブロッコリー、シソ、てん茶、緑茶があります。
質素な食事でお米が中心のものが良いでしょう。
2)アレルギー性鼻炎に良くない食物として
肉、レバー、揚げ物、高たんぱくの食品があります。
油っこい食物の過剰摂取はアレルギー性鼻炎には良くありません。
③小児のアレルギー性鼻炎は
1)季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)には抗ヒスタミン剤を主に服用し、それでも症状がひどい時にはセレスタミンシロップを1週間内服すると症状が良くなります。
2)通年性アレルギー性鼻炎には抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)を主に使用されると良いでしょう。
3)アレルギー性鼻炎のお子さんは感染がとても多く、お子さんによっては年25回以上の感染をおこします。
4)アレルギー性鼻炎のお子さんは病院に来る日数がとても多いのが特徴的です。
5)年間15回以上の抗菌薬(抗生剤)の内服を受けていることが多いと、小児のアレルギー性鼻炎になりやすい傾向があります。
6)三種混合ワクチンを接種していると、小児のアレルギー性鼻炎になりにくい傾向があります。
④舌下免疫治療法(新しいアレルギー性鼻炎の治療法)
1)3年以上継続すると半分以上の方に症状の改善がみられ、内服薬の使用回数が減ってきます。
2)有効率は60%~70%です。
3)副作用はあまりなく、咳やアトピー性皮膚炎の悪化など軽微なものが多く、重篤なものはありません。
4)5年間継続してその後中止しても、2~5年間は効果が継続します。
5)プロバイオティクス(乳酸菌)を併用しますと、舌下免疫療法の効果が開始1年後からと早期にみられてきます。
小児のけいれんと抗ヒスタミン薬について
順天堂大学 新島新一先生 講演会より
①抗ヒスタミン薬の使用の際には、過去に「けいれん」があったかの確認が必要です。
②抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎の鼻汁やくしゃみの改善やアトピー性皮膚炎や蕁麻疹の痒みの改善に使われる薬です。
③てんかんのある成人が、抗ヒスタミン薬を内服するとけいれん発作が増悪するので注意が必要です。
④10才未満のお子さんで、けいれんの既往がある場合には抗ヒスタミン薬の内服によってけいれんが誘発されますのでお薬の選択が重要です。
⑤熱性けいれんのお子さんの45%が抗ヒスタミン薬を飲んでいたとの報告があります。危険因子として抗ヒスタミン薬の内服があげられます。
⑥6ヶ月以上の乳幼児で「鼻汁」の症状に安全に使えるお薬はアレジオンドライシロップのみでこれ以外のお薬は避けたほうがよいでしょう。
アレジオンドライシロップはお薬が脳内に移行することが低い安全なお薬で乳幼児には最も適しています。
⑦小児において脳内移行に伴う「けいれん」を誘発しない安全なお薬は次のものがあげられます。
a)抗ヒスタミン薬の中ではアレグラ・アレジオン・エバステルがあげられます。
b)ぜんそくのお薬ではオノン・シングレア・IPDがあげられます。
⑧けいれんの既往のあるお子さんでは「けいれんを誘発する可能性のあるお薬」は使用を避けることが大切です。
具体的には次のお薬に注意が必要です。
ザジテン・セルテクト・ポララミン・アレルギン・ペリアクチン・ヒスタール・アタラックス・レスタミン・タベジール
上記のお薬は脳内移行の多いお薬ですので、けいれいんの既往があるお子さんが服用するとけいれんを誘発しやすくなります。
お子さんのアレルギー性結膜疾患の対応
東京女子医大 高村悦子先生 講演会より
花粉症に見られる「アレルギー性結膜炎」の治療は次のことがポイントになります。
●目の痒みや充血などのアレルギー性結膜炎の症状を改善するには点眼薬が有効です。
パタノールやリボスチンの軽いタイプの点眼薬は目にしみませんし、副作用がほとんどないのでお子さんにも安全に使っていただけます。
ザジテンやリザベンの点眼薬は目にしみるのでお子さんには避けた方がよいでしょう。
●点眼薬は花粉症と一緒で、花粉の飛び始める前から使用しておくと、目の症状を軽くすることができます。
●点眼薬で症状はおさまらない時にはステロイドの点眼薬が必要になります。
気をつけなければならないことは、ステロイドの点眼薬は眼圧が上昇して緑内障をおこすことがありますので眼科医の指導の元で短期間の使用がよいでしょう。
●目に花粉が入るのを減らすために、外出時はゴーグル型メガネや普通のメガネをかけると有効な予防手段です。
●人工涙液で目の中の花粉を洗うことも大切です。人工涙液は病院で処方されたものではなく、市販のもので十分です。
出来れば防腐剤の入っていない使い切りのタイプがよいと思います。
●重症のアレルギー性結膜炎を「春季カタル」といってお子さんに多い傾向があります。
軽度のアレルギー性結膜炎やアトピー性結膜炎にみられる目の痒みは少なく、目の痛みや視力低下がみられる傾向があります。
小学生から発症することが多いようです。
●お子さんの「通年性アレルギー性結膜炎」では花粉症のように目の痒みが出ることは少ないのですが、目が充血したり、こすったり、かすむなどの症状が目立ちます。
●目の周囲のアトピー性眼瞼炎は、プレドニン眼軟膏で症状をよくしておくと、目の中のアトピー性角膜炎も改善してきます。
小児スギ花粉症に対するロイコトリエン受容体拮抗薬の可能性
小児スギ花粉症に対するロイコトリエン受容体拮抗薬の可能性
日本医科大学 頭頸部・感覚器科学 大久保 公裕先生講演会
①小児の「アレルギー性鼻炎」の症状では外出などの影響は軽いですが、睡眠障害の症状は重くなります。
②「アレルギー性鼻炎」の症状が出る前から「アレルギー性鼻炎」のお薬を使用することでシーズン中の症状をやわらげる初期療法を多くの患者さんは希望しています。
③初期治療を希望する人より、希望しない人の方が鼻閉の症状が重くなります。
④プラルンカスト(ロイコトリエン受容体拮抗薬:オノン)のスギ「アレルギー性鼻炎」における初期療法は
(1)鼻水、くしゃみ、鼻閉をおさえることが出来ます。その中でも鼻閉を最もおさえます。
(2)経口抗ヒスタミン薬や局所血管収縮薬などの併用を少なくすることが出来ます。
⑤小さい頃から鼻閉のあるお子さんは、口で呼吸するものと思っていて、鼻で呼吸することは思っていません。鼻閉にお子さん自身が気づいていないのです。
⑥お子さんでも大人の方でもプランフルカストは「アレルギー性鼻炎」の鼻症状全体をおさえて、特に鼻閉に効果があります。
⑦スギ花粉の暴露が急に増えると「アレルギー性鼻炎」の症状は悪化しますがプランルカストをその前から内服していますと「アレルギー性鼻炎」の症状は安定し、また、暴露で悪化してもその後の「アレルギー性鼻炎」の症状がまた改善して安定します。
⑧舌下免疫療法は
(1)「アレルギー性鼻炎」が重症化しないのが特徴です。
(2)「アレルギー性鼻炎」の症状は活原開始後の一年目のシーズンより二年目のシーズンの方がおさえられてより効果がでます。
(3)治療を止めたあとも「アレルギー性鼻炎」の症状がおさえられます。
(4)口腔の舌根をまわる腫れはおこりません。
(5)声門の浮腫はおこりません。
⑨「鼻汁」のお子さんは中耳炎になりません。
「鼻閉」のお子さんは、鼻汁がのどにまわる後鼻漏になりますので中耳炎になりやすいです。
⑩「ダニ」の舌下免疫療法は「夏」に始めるのがベストです。
以前には見られなかった小さなこどものアレルギー性鼻炎が著増しています。
症状は、鼻水・くしゃみ・鼻閉ですが、鼻汁・くしゃみタイプのアレルギー性鼻炎のお薬と、鼻閉タイプのアレルギー性鼻炎のお薬、の2種類あります。
適切なお薬を使い分けることが重要です。
両方のタイプの症状を示すアレルギー性鼻炎では、両方のお薬の併用が必要になります。
季節性のアレルギー性鼻炎がいわゆる花粉症と
呼ばれるもので、春先のスギやヒノキ、秋のブタクサなどが有名です。
これとは対照的に1年中鼻炎の症状を示すこどもさんがいます。
これを通年性アレルギー鼻炎といいます。
花粉症の治療で最も重要なことは、花粉が飛び始める前の時期からアレルギー性鼻炎のお薬をのむこと(初期療法)です。
花粉が飛び始めて症状が出てからお薬をのむのと比べて、はるかに症状を軽く出来るメリットがあります。
治りにくいケースでは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の
合併がみられることがありますので、この治療を併用するとより効果が出る場合もあります。
こどもが自分で鼻のところを手でこすっている時には、アレルギー性鼻炎を考えましょう。
気管支喘息やアトピー性皮膚炎のこどもでは、アレルギー性鼻炎を併発してくるこどもが多い傾向があります。
かゆみを科学するーアトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズムと対策
かゆみを科学するーアトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズムと対策
順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所、
順天堂大学大学医学部付属浦安病院 皮膚科
高森 建二先生
①健康な皮膚では表皮内に神経線維の伸長はみられません。
アトピー性皮膚炎の表皮内には神経線維が伸出していますのでかゆみをより感じやすくなっています。また、表皮内にある神経線維による「かゆみ」には通常の抗ヒスタミン薬は効果がありません。
②皮膚の乾燥を呈している肌はかゆみを伴いやすいです。
③うるおいのある肌は皮膚の表面の細胞と細胞の間がびっちりくっついているので外からアレルゲンが入ってこないですし、皮膚の中の水分も外に出ていきません。
④皮膚の乾燥はかゆみ閾値の低下となり敏感肌になります。
敏感肌は軽微な刺激に容易に反応してかゆみが誘発されます。また、外部の刺激で過剰にかゆみが増強されます。
⑤PUVA療法(紫外線療法)は表皮内神経線維の伸出を減少させてかゆみを減少します。
PUVA療法が表皮内神経の伸出を低下させることでかゆみが減少します。アトピー性皮膚炎にPUVA療法をしますと「かゆみ」がとても減少します。
⑥表皮内神経線維の侵入(伸長)を保湿剤は抑制することが出来ます。
その結果としてかゆみが減少します。
⑦保湿剤の外用は皮膚の症状が軽い時期から使用すると良いでしょう。保湿剤の外用は表皮内神経線維の侵入(伸長)を抑制して、かゆみを減少させることが出来ます。
⑧保湿剤は、家族にアトピー性皮膚炎があるなどのハイリスクの赤ちゃんで新生児の時から保湿剤を使用しますとアトピー性皮膚炎の発症の予防が出来る可能性があります。
⑨グリチルレチン酸の外用薬(デルマクリン軟膏)は皮膚のかゆみを抑制します。
これは、乾燥した皮膚の表皮内神経線維伸長を低下させてかゆみを減少させます。
⑩かゆみがあるのは皮膚のバリア機能がこわれている「サイン」です。
⑪汗をかいたら水かシャワーで汗を流しましょう。
⑫学校でシャワーを浴びるとアトピー性皮膚炎の症状が改善します。
⑬汗をかくことは表皮内に水分が貯まるので皮膚を乾燥させないので、アトピー性皮膚炎には良いことです。
お母さんはお肌がきれいになってから、「夜泣きしなくなった」とか「昼間ぐずらなくなった」というお話をよく耳にします。
赤ちゃんは言葉が話せませんから「かゆみ」を「ぐずり」や「夜泣き」で表現していることが多いのです。
皮膚の表面だけではなく、皮下の部分の炎症を治さないとアトピーは治らないのです。つまり皮膚表面がきれいに改善しても、その後一定の日数はぬり薬をぬりつづけないと皮下の部分の炎症は治りません。
よくあることですが3日つけてよくなったのがステロイドのぬり薬を止めたところ、その後すぐに皮膚炎が悪化したというのは、ぬる日数が足りないのです。
ステロイドのぬり薬でよくなったら、初めて保湿剤に切り替えが可能です。
ステロイドのぬり薬でせっかくよくなってもその後のスキンケアが全くされないとアトピーはよくなりません。
アトピー性皮フ炎のこどもの皮膚は乾燥していて、水分含有量が正常児と比べてはるかに少ないので、水分補給のための保湿剤が必ず必要になります。
さらに、保湿剤には皮膚のかゆみをおさえて、アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐ効果があります。
また保湿剤をぬることで皮膚の表面に膜が出来て、外からのバイ菌の侵入を防ぎアトピー性皮膚炎によくみられる合併症を予防することが出来るのです。
アトピーの治療は皮膚炎がみられている時も治療が必要ですが、一番大切なのは皮膚炎がなくなったときの「保湿」というスキンケアが重要なのです。
アトピーは夏によくなる傾向がありますが、夏に保湿をしっかりとしておくとその冬のアトピーの悪化を回避することが出来るのです。
乳幼児ではアトピー性皮膚炎の治療はぬり薬が主体ですが、かゆみの強いケースではかゆみ止めののみ薬が必要になります。
かゆくなりやすい傾向があります。
かゆいとかく→かくとアトピーが悪化する→夜よく眠れない→夜間の成長ホルモンの分泌が減り、背が充分に伸びないという悪循環に陥ります。
「かゆみ」はなるべく早く治すことを心がけましょう。
顔のかゆみの強いアトピーは、顔面をかくため眼球を傷つけることが多くなります。2歳以上であれば目の周囲に「プロトピック軟こう」というぬり薬がよく効きます。
プロトピック軟こうは健康な皮膚には吸収されませんが、アトピー性皮膚炎の部分のみに吸収され、かゆみや炎症を治します。
使用はじめの1週間ぐらいはぬった後に「ピリピリ感」が出ますが、それをこえるとそのピリピリ感も消失してアトピーがよくなります。
。
眼球をひっかくことで傷つけてしまうと、将来に白内障や網膜剥離の合併症をおこすことがあり、場合によっては失明する可能性があります。
顔、特に目周囲のアトピーには注意が必要です。
また重症のアトピーでは、悪性リンパ腫にかかる確率が高くなることが最近言われています。適切な治療を行うことで、こどものアトピーは治すことが可能なのです。
是非とも合併症のリスクを回避して、こどものストレスをとるためにもアトピーの治療は重要なのです。
アトピー性皮膚炎の要因について
①食物アレルギー・ダニ
乳児期に多いのが食物アレルギーで、2歳以降はダニが多いです。
②かゆみ
かゆいのでかく、またかゆくなるのサイクルをおこします。
③ストレス
何らかのストレスがあると、アトピーは悪化します。
*ストレスによる舌なめずり皮膚炎というものもあります。
④汗
汗をかくと、汗の刺激で悪化します。赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、汗をかくとすぐあせもになりやすい傾向があります。
こまめに肌着やオムツを取り替えましょう。
小学生や幼稚園児などはシャワーで汗を流すだけでも効果的です。
⑤石鹸、シャンプー
中に入っている成分によっては悪化します。
⑥温泉とプール
アトピー性皮膚炎の調子がいいときには温泉やプールに入っても大丈夫ですが、調子の悪いときに入ると悪化します。
⑦日焼け
赤ちゃんの肌はデリケートなので、紫外線があたると日焼けをおこします。夏場でなくても、春先から日焼けをおこしやすくなります。
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、より一層日焼けしやすいので、日焼け止めが春先から必要です。保湿剤の下塗りをしたその上に日焼け止めを塗ると、かぶれにくいのでおすすめです。
⑧「虫さされ」と「とびひ」
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの肌はヒフの防護機能が弱いので、外からばい菌が入りやすくなっています。「虫さされ」の部分をかき壊すと、その傷口からばい菌が入り「とびひ」になってしまいます。「虫さされ」の時に早めにぬり薬を使って治し、「とびひ」にならないようにすることが大切です。
また、防虫グッズも上手に使いましょう
「虫さされ」や「とびひ」はアトピー性皮膚炎を悪化させてしまいます。
⑨お腹の調子とアトピー
アトピー性ヒフ炎の赤ちゃんは下痢になるとアトピーが悪化することがあります。
アトピー性ヒフ炎の難治例ではお腹の調子を良くする整腸剤を内服すると改善がみられるケースがあります。
どうもお腹の状態とアトピー性ヒフ炎のヒフの状態は関連があるようです。(お腹の中の免疫が関連してると思われます。)
舌なめずり皮膚炎
文字通りお子さんが自分の舌で口の周りをなめることでおこる「かぶれ」です。
お子さんに不満やストレスがあると起こります。
例えば、お母さんが下の子ばかりかまう事で不満がつのり皮膚炎をおこしたりします。
お子さんが満足するように意識的に抱っこしたり、ほおずりしたりして愛情をそそいでいることを伝えるのが効果的です。
ぜんそく情報
長引く咳の診断と治療
独協医科大学埼玉医療センター呼吸器内科
杉山公美弥講演会
①咳喘息
A:ヒューヒュー、ゼイゼイはしませんが咳のみひどい状態で咳き込むことや咳で嘔吐したりすることが多い病気です。
B:「咳受容体感受性亢進が」が原因とされています。
C:気管支を拡げる効果のあるアドエア、テオロング、ホクナリンテープなどのお薬が効果的です。
②気管支喘息
A:気道上皮が壊れている状態で「気道のアトピー性皮膚炎」とも言えます。
B:夜中から明け方に咳が多くみられます。
C:気道上皮の炎症を抑えるフルタイド、アドエアなどの吸入ステロイドなどのお薬が効果的です。
③アトピー咳嗽
A:気道上皮は壊れていない状態で、「気道の蕁麻疹」や「アレルギー性気管支炎」とも言えます。
B:春や秋に多い季節性があり、お天気の変化や会話でも咳の症状が出ます。
C:「痰がでない咳」が特徴です。
D:ビラノアやデザレックスなどの抗ヒスタミン薬の連用が効果的です。これで効果が不十分でしたらアレロック+ぺリアクチンを連用して内服しポララミンを頓服すると良いでしょう。
④胃食道逆流症
A:胃から食道へと逆流が起きているためにおこる咳です。
B:食事をすると調子が悪く咳がでます。
C:食後や油物を食べた後に咳が多くみられます。
D:胸やけがある方とない方の両方に見られます。EPPI(ネキシウム)という逆流性食道炎の内服が効果的です。
⑤後鼻漏(副鼻腔炎)
A:就寝中には咳は出ません。
B:朝、起きると咳がでます。
C:患者さんは鼻水が喉にまわる感じがすることが多いです。
D:クラリスロマイシンの内服とステロイドの点鼻薬がとても効果があります。
⑥感染後咳嗽
A:クラリスロマイシンがとても効果があります
小児慢性便秘症の新しい治療戦略
済生会横浜市東部病院
小児肝臓消化器科
十河 剛先生
- 慢性便秘症のお子さんは
- 一週間に2回以下の排便です。
- 少なくとも週に一回の便失禁があります。
- 便を我慢する姿勢や過度の自発便の貯留があります。
- 毎日排便があっても便秘のことがあるので注意が必要です
例えば毎日の排便が本来出るべき量の1/2しか出ていないと便秘になる訳です。 - お子さんの便秘の頻度は15%くらいです。
- お子さんがトイレで排便が出来ないと、お母さんはついついお子さんをしかってしまいます。
- 便秘のお子さんは友達から体や口が臭いと言われてしまいます。
また便秘のことを恥ずかしいから言えません。 - 便秘は家族集積性があるので親御さんが便秘だとお子さんが便秘でも普通と考えている親御さんがいる傾向があります。
- 便秘の症状は
- 腹痛
- 裂肛
- 直腸脱、痔核
- 肛門周囲の便の付着
- 嘔吐、吐き気
- 胃食道逆流症、げっぷ、口臭
- 集中力低下
- 夜尿、遺尿
- 飲み込みにくい
- のどがイガイガする
- 便塞栓除去をするタイミングは
- 少量の硬いウンチ
- 肛門の周囲やパンツにウンチがつく
- ウンチがなかなか出ないのに下痢便
- オシッコはトイレでできるのに便は漏らしてしまう時にしてあげると良いでしょう。
- お尻のフタの便塞栓を取り除きます。
- お尻まで降りてきたウンチは、我慢せずに出せる習慣を身につけさせると良いでしょう。
- ウンチ=苦痛、恐怖
↓
ウンチ=気持ち良い、スッキリ
のように脳にかかれた間違った情報を変えていくことが大切です。 - 直腸は普段は空っぽの状態です。
直腸にウンチが降りてきたら、ウンチをして直腸を空っぽにしましょう。 - 便秘のお子さんは、便秘でないお子さんに比べて脂肪の多い食事をとっているので食事はバランス良くとることが大切です。
- 経口補水液は、体の中に水分を保持出来るので、便秘にも良いかもしれません。
- 繰り返す浣腸はお子さんに恐怖心を与えてしまいます。
- モビコールは
- モビコール継続中のお子さんは浣腸の追加をしなくて良くなります。
- モビコールを使い始めると排便回数の改善と固い便がバナナようなウンチに改善します。
- モビコールは水分を腸管内から逃さない機能があります。
- モビコール開始後は大人の手にのるくらいの量のウンチが出ることが目標です。
- モビコール開始後に便秘に効果がない時はヒルシュスプルング病や牛乳アレルギーを考える必要があります。
- お子さんの便秘は成人に移行することがあります。
一旦、治療が成功しても高率に再発する可能性があります。
便秘でない状態が治療目標で、薬物療法は6~12か月必要です。
便秘の治療を早目に止めると再発しやすい特徴があります。