舌下免疫療法(アレルギー性鼻炎)
アレルギー性鼻炎の症例はこちら
舌下免疫療法の薬代のおおよその目安と対象年齢
(スギ花粉症舌下免疫療法)
シダトレン 増量期(14日分) ¥700
維持期(14日分) ¥820
維持期(28日分) ¥1290
シダキュア 増量期(14日分) ¥830
維持期(14日分) ¥1160
維持期(28日分) ¥1800
(ダニ舌下免疫療法)
アテシア 14日分 ¥1200
28日分 ¥2050
ミキティア 14日分 ¥1200
*平日3割負担の方の例です。(別途診察代がかかります)
★スギ花粉症の舌下免疫療法は現在の対象年齢は5歳以上からとなります。
★ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法が1年中いつでも開始出来るようになりました。
対象年齢は、5歳以上からとなります!!
お悩みの方はあらかじめ採血の結果をご用意いただきご相談下さい。
『アレルギー性結膜疾患の予防と治療』
『アレルギー性結膜疾患の予防と治療』
両国眼科クリニック 深川和己先生講演会
アレルギー性結膜疾患の有病率は48%です。
花粉症のセルフケア
A:抗原回避の方法
1)メガネ
花粉をカットする花粉防止めがね
花粉カット:ジーンズというメーカーのものは92%の花粉飛入抑制効果がありました。
普通のメガネはひさしのある帽子を被れば80%くらいの花粉飛入抑制効果がありました。
眼にもマスクが大切です。
眼の中に花粉(抗原)を入れないことが大切です。
これは、スギ花粉眼瞼炎にも有効です。花粉防止めがねで、眼にもマスクをつけましょう。
2)洗眼
カップ式の洗眼液には防腐剤が入っているので結膜を刺激してしまうことがあり、洗眼には向いていません。
カップ式の洗眼液で洗眼すると目の周りに付いた花粉が眼の中に入ってしまうため向いていません。
水道水で洗眼している人も多くいますがこれは粘膜を刺激するので向いていません。
眼の中だけ洗眼するのが良いでしょう。
ウェルウォッシュアイという人工涙液で4~5滴で洗眼するとスギの花粉は殆ど落ちます。
スギ花粉からの抗原溶出もウェルウォッシュアイが抑えます。
眼の炎症は冷やすと良いのでウェルウォッシュアイを冷蔵庫に入れておくとよいでしょう。
3)点眼薬
生活の支障度が高いのは眼のかゆみです。
アレジオン点眼薬は早く長く眼のかゆみに効きます。
点眼薬の60%に使用されている防腐剤(BAK)は角膜上皮が障害を受けることがあり、ソフトコンタクトレンズを付けた方はBAKの点眼薬をするとソフトコンタクトレンズにBAKが付着してソフトコンタクトレンズが壊れてしまうことがあります。
BAK含有の点眼薬は結膜の障害を起こします。
BAKフリーのアレジオン点眼薬は細胞障害性が低いのです。
BAKフリーのアレジオン点眼薬はコンタクトレンズの上から使用しても問題はありません。
4)コンタクトレンズを使用しているアレルギー性結膜炎の患者さん
①外を歩くときは花粉防止メガネ
②コンタクトレンズの上からさせる目薬(BAKフリー:アレジオン点眼薬)
③痛みのある時はコンタクトをお休みしましょう。
5)初制療法
花粉飛散予測日の約2週間前、もしくは症状が少しでもあらわれたら、抗アレルギーの点眼薬を開始する治療法です。
スギやヒノキの花粉に対して有効です。
初期療法の利点は、
①アレルギー性結膜疾患の発症を遅らせることが出来ます。
②アレルギー性結膜疾患の症状を軽減することが出来ます。
③ステロイドの点眼薬の使用を減少することが出来ます。
(3~9才はSteroid Responderの発生頻度が高い!
ステロイド点眼薬による眼圧上昇に注意が必要です。)
④アレジオン点眼薬はパタノール点眼薬に比べて初期療法の効果が高いです。
アレジオン点眼薬は「かゆみスイッチを減らす」お薬なので、眼がかゆくない時にも点眼しておくと良いでしょう。
「ダニ舌下免疫療法は小児アレルギー史を変えるか?」 ~年齢制限解除をうけて~
「ダニ舌下免疫療法は小児アレルギー史を変えるか?」
~年齢制限解除をうけて~
ユーカリが丘アレルギーこどもクリニック
松山 剛先生講演会より
①2才、5才のアレルギー性鼻炎は気管支喘息の発症リスクが高くなります。
②乳幼児は寝具や床に顔を付けたり近づけたりするので濃厚なダニ抗原を吸収する可能性があります。
③ベット、布団、電気毛布にはダニが多くみられます。
④枕、シーツ、布団カバーは最低でも週に一回洗濯するとダニ対策に良いでしょう。
⑤ダニアレルゲンを環境から除去した方がお子さんの気管支喘息の発症は少なくなります。
⑥チリダニは台所の小麦粉系のものに入りたがる傾向がありまして、お好み焼きを食べた後に蕁麻疹や気管支喘息発作を起こすのは食物アレルギーではなくダニアレルギーのパンケーキ症候群の可能性があります。使いかけのこのような粉は冷所保存するとチリダニの混入を防ぐことが出来ます。
⑦舌下免疫療法によりお子さんの気管支喘息の発症を抑制することが出来るよになりました。
⑧18~65才のダニ単独アレルギー性鼻炎の方に舌下免疫療法をしますとアレルゲンの新規感作率を抑制しました。舌下免疫療法を3年間実施すると7年間、4年~5年実施すると8年間その有効性が続きました。
⑨小児の舌下免疫療法の効果と安全性は成人と同様です。
⑩ダニアレルギー性鼻炎の治療薬である「ミティキュア」の副作用で最も多いのが咽頭痛です。他には、胃のむかむか感がありますが、この場合は「ミティキュア」を食後に内服した時に出やすい傾向にあります。「ミティキュア」の副作用は、1~2ヶ月訴えるお子さんもいれば全く訴えないお子さんもいます。
⑪舌下免疫療法の副作用を軽減させる方策
12歳未満ではやや副作用が多くかつ強い感じがあります。
対応としては~
A:あらかじめ唾液をためておいてから舌下をします。これは,下のピリピリ感やのどの痛みを軽減するためです。
B:初期内服量の3300単位を1週間以上継続して長めに内服します。副作用が減弱する1~2ヶ月程度の期間です。
C:舌下してから1分間保持せずに30秒間に短縮しておこないます。これでしばらく慣れてから1分間に戻します。
D:舌下後の唾液を飲み込まず吐き出してしまいます。これは、のどの痛みを訴えるお子さんの症状の軽減になります。
E:あらかじめ、抗アレルギー薬の内服しながら舌下を行うと副作用の訴えの減るお子さんがいます。
花粉性結膜炎における診断と治療 治療を始める前に知っておきたい目の表面のこと
花粉性結膜炎における診断と治療
治療を始める前に知っておきたい目の表面のこと
大阪大学 眼科 高 静花先生講演会
①点眼薬は局所だけに効果があり全身への影響は軽減出来ます。
②点眼薬には塩化ベンザルコニウム(BAK)が防腐成分として入っています。BAKは保存性が高く水に溶けやすく科学的に安定していますが角膜上皮障害を起こすことがあります。また、ソフトコンタクトレンズへの吸着をしたり接触性皮膚炎をおこしたりすることがあります。
③アレジオン点眼薬は
1)BAKフリーの点眼薬ですので、BAKが入っている点眼薬でおきる角膜上皮障害を改善することが出来ます。
2)BAKフリーなのでソフトコンタクトレンズ装着時にも点眼が出来ます。コンタクトレンズ装着者におけるアレルギー性結膜炎の患者さんの満足度も高いです。
④点眼の使用にあたり注意することがあります
1)点眼薬の回数が基準量を越えてしまうとBAKフリーでも角膜上皮障害や接触性皮膚炎を起こしてしまいます。
2)点眼薬は決まっている回数を守ることが大切です。
3)点眼薬は点眼回数を基準より多くしても効果が上がるわけではありません。
⑤ドライ3コン(ドライアイの要因)
1)パソコン
2)エアコン
3)コンタクトレンズ
a)装着により涙液安定性が低下(涙液量の低下)します。(裸眼は涙液の安定性が良いです)
b)装着者の82.6%が乾燥感を自覚しています。
c)コンタクトレンズによるドライアイの治療は涙液補充です。ジクアス点眼薬はBAKフリーの点眼薬で涙液量が増加します。
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法 アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の安全性
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の安全性
日本医科大学頭頸部・感覚器科学分野 大久保公裕先生
①有害事象(副作用)の大半は治療開始時におきて、数日から数週間で医学的介入なしで改善する口腔内の変化が主なものです。
②舌下免疫療法の治療薬であるミティキュアの主な副作用は投与部位である口腔内の局所の症状が主なものです。
③舌下免疫療法の治療薬であるシダトレンは治療開始後4週間で口腔内の局所の症状が出ることが多い傾向にあります。
④舌下免疫療法における多くの口腔内の副作用は無処置で数時間で消失することが多いです。症状によっては抗ヒスタミン薬を使用しても良いでしょう。
⑤舌下免疫療法における口腔以外の副作用は
1)胃部不快感、下痢などの消化器症状に対しては吐き出し法で対処できます。お薬が溶けた後にのみこまずに口から吐き出すのが吐き出し法です。
2)蕁麻疹や皮疹に対しては来院して発疹を確認し一度休薬とします。電話の問い合わせには一度休薬して来院していただく形をとるのが良いでしょう。この時に発疹をスマフォで写真を撮って頂いておくのが役に立ちます。
⑥スギとダニの両方にアレルギー性鼻炎がある場合にはスギの舌下免疫療法を一年間治療して問題なければ、スギの舌下免疫療法を夜に内服して、朝にダニの舌下免疫療法の内服をもってくる方法であればスギとダニの舌下免疫療法の併用療法も可能です。
⑦抜歯した場合はその日のシダトレンの内服を休めば良いでしょう。抜歯後に出血が止まればシダトレンを再開して良いでしょう。
花粉症結膜炎の診断と治療
花粉症結膜炎の診断と治療
順天堂大学 眼科 海老原伸行先生 講演会
①スギ花粉症結膜炎の診断と治療
1)花粉症は国民の3割がなっています。
2)花粉症は目の症状(かゆみ)が強い患者さんが鼻の症状でも強い特徴があります。
3)アレルギー性結膜炎では、目のかゆみが一番多くみられる症状です。
4)くしゃみ、鼻水、鼻閉に加えて目のかゆみがQOLの低下につながります。
5)目をこすって花粉症結膜炎が重症になると、眼球結膜浮腫があらわれます。
6)重症アレルギー性結膜炎は春季カタルがあります。
7)アレルギー性結膜炎の3大徴候は以下の通りです。
A)目のかゆみ、充血
B)流涙
C)異物感
8)花粉症結膜炎の患者さんの最もQOLを低下させる自覚症状は目のかゆみであり、
このかゆみを改善するのが最も大切です。
②花粉症アレルギー性結膜炎の治療
1)軽症は抗ヒスタミン薬のみです。
2)中症は抗ヒスタミン薬に加えて膜安定化薬(マスト細胞の膜顆粒を抑制します)が必要です。
3)重症は抗ヒスタミン薬+膜安定化薬+ステロイド点眼薬です。
4)アレジオン点眼薬は抗ヒスタミン薬の効果に加えてマスト細胞の膜安定薬の作用もあります。
5)アレジオン点眼薬投与時の重症度のいかんにかかわらず目のかゆみを抑制します。
6)アレジオン点眼薬は目にしみませんので小児にも適応があります。
③抗アレルギー点眼薬による接触眼瞼皮膚炎
1)抗アレルギー点眼薬によりおこる接触眼瞼皮膚炎です。抗アレルギー点眼薬による「かぶれ」です。
2)抗アレルギー点眼薬で感作された期間が長いのが特徴です。抗アレルギー点眼薬の使用期間が長いことになります
3)先発薬品で生じなくてもジェネリック薬品で起こる可能性があります。
4)抗アレルギー点眼薬の中には防腐剤として塩化ベンザルコニウム(BAK)が含まれているものがあります。
このBAKが入っている抗アレルギー点眼薬の使用例に多くみられます。
ちなみに、アレジオン点眼薬はBAK(-)で入っていませんので接触眼瞼皮膚炎を起こすことはありません。
④ステロイドの点眼薬は必ず眼圧を上昇させます。特に9才以下のお子さんで眼圧の上昇が起こりやすいので注意が必要です。0.1%フルメトロン点眼薬でも30%の患者さんは眼圧は上昇します。
⑤花粉症アレルギー性結膜炎の予防
1)点眼液による初期療法があります。花粉飛散の2週間前から点眼液を開始する初期療法です。
花粉飛散の3週間前からアレジオン点眼液の初期療法を開始しますと花粉飛散時の目のかゆみを低下させます。
2)舌下免疫療法
舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎だけでなくアレルギー性結膜炎症状も改善します。
舌下免疫療法を行いますと目の症状が出にくくなりますのでアレルギー性結膜炎の点眼薬の使用する量を減らすことができます。
ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の自験57例について
「ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の自験57例について」
喜平橋耳鼻咽喉科 村川哲也先生講演会より
①ダニのアレルゲン暴露は秋がピークです。ダニのアレルゲン量は初秋~晩秋にかけて増加します。
②舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎に加えて、アレルギー性結膜炎や気管支喘息への治療効果があります。気管支喘息の発症予防効果や新規アレルゲンの感作を抑制します。
③舌下免疫療法を5年間内服しますと、内服中止後7年間は有意な症状の低下が続きます。
④舌下免疫療法では、気管支喘息の発症予防が小児でみられています。また、新規アレルゲンの感作予防にも効果があります。
⑤舌下免疫療法では2/3の方に副作用がみられますが全体としては、軽症のものが多く舌下免疫療法開始1~2日に多くみられます。副作用で口腔内浮腫が出ましても、呼吸困難にいたることはなく、副作用の症状が回復すれば舌下免疫療法を続けても問題はありません。
⑥舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎のみならず気管支喘息にも効果があります。
⑦ダニアレルギー性鼻炎では、その70%はスギにもアレルギー性鼻炎があります。血液検査でダニのIgEが高いほどスギのIgEも高くなります。
⑧スギアレルギー性鼻炎とダニアレルギー性鼻炎の両方を持っている患者さんでは朝にアシテア(ダニアレルギー性鼻炎のお薬)を内服して、夕にシダトレン(スギアレルギー性鼻炎のお薬)を内服すると良いでしょう。この場合、シダトレンを先に治療開始して、少し経過してからアシテアを追加治療する例が多いです。
⑨口腔内や食道のそうよう感、違和感があった場合は気分不良、頻脈、咳などの全身症状がみられなければ軽症と判断して経過観察で大丈夫です。
⑩舌下免疫療法で副作用が出やすい患者さんは飲み込まずに吐き出しをすることで舌下免疫療法を継続できます。
⑪舌下免疫療法の内服は朝が望ましいと考えられます。副作用が出た時に日中に病院を受診できるからです。
⑫舌下免疫療法は維持期であれば一週間程度休薬してもそのまま舌下免疫療法を再開しても問題はありません。
⑬学生さんの朝のクラブ活動(朝練)は、副作用が出にくい患者さんは問題ありませんが副作用が出やすい患者さんは内服を夜に変更すると良いでしょう。
⑭舌下免疫療法の治療薬である「アシテア」は300単位で口腔内そうよう感が出る患者さんは副作用の出にくい200単位または100単位で継続しても効果があります。
⑮スギとダニの舌下免疫療法を同時に行う時には、どちらかを朝片方と夕にと分けて行う必要があります。例えば先行にスギの舌下免疫療法を行い、副作用が出なければダニの舌下免疫療法を朝に開始する時はスギの舌下免疫療法を夕方にして、ダニの舌下免疫療法を朝に開始すると良いでしょう。スギの舌下免疫療法とダニの舌下免疫療法を同時に舌下しますと副作用が出やすいので、同時の舌下はさけて朝と夕方に分ければその心配はありません。
⑯スギの舌下免疫療法のシダトレンを先行してダニの舌下免疫療法のアシテアを追加服用する時には、シダトレンの維持期になって1か月間間隔をあければアシテアの追加投与が出来ます。
⑰血液検査で好酸球が10%以上の人は重症の気管支喘息が多いので舌下免疫療法の前にロイコトリエン拮抗薬を1か月ぐらい内服して好酸球が下がってから舌下免疫療法を開始しますと舌下免疫療法の副作用が出にくくなります。
ダニ舌下免疫療法は小児のアレルギー史を変えうるのか?
「ダニ舌下免疫療法は小児のアレルギー史を変えうるのか?」
千葉県立佐原病院 小児科 松山剛先生講演会より
①2~10才の気管支喘息のうち
気管支喘息が先行して発病して、その後にアレルギー性鼻炎合併してくるケースが24.6%有ります。
逆に、アレルギー性鼻炎が先行して発症して、その後に気管支喘息を合併してくるケースが26.1%有ります。
②2才と5才の時点でのアレルギー性鼻炎は学童期の気管支喘息の発症リスクになります。
③ヤケヒョウダニは湿潤した地域に多くみられます。
コナヒョウダニは乾燥した地域に多くみられます。
④乳児期は寝具や床に顔をつけたり近づけたりして濃厚なダニ抗原を吸入する可能性があります。
⑤家の中のペットはダニのアレルギーの温床です。
⑥パンケーキ症候群は、お好み焼きの粉を使って残りの半分にダニが増殖する可能性があるため、このダニによるアナフィラキシーショックのことを指します。
⑦5~12才のイネ科のアレルギー性鼻炎(気管支喘息合併なし)に舌下免疫療法を行いますと、気管支喘息の症状やアレルギー性鼻炎の症状を低下させることが出来ます。
⑧ダニアレルギーの3~17才のアレルギー性鼻炎では舌下免疫療法のよる気管支喘息発症抑制の効果がみられます。
⑨18~65才のダニのアレルギー性鼻炎の患者さんに舌下免疫療法を4年間行いますと、新しいアレルゲンに感作されるのを抑制することが出来ます。
⑩小児への舌下免疫療法の効果と安全性は成人と同等です。
⑪ダニのアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法をのお薬のミキティアは治療開始後1~1.5ケ月でアレルギー性鼻炎の症状の改善がみられます。
舌下免疫療法の小児への普及に向けて
舌下免疫療法の小児への普及に向けて
千葉大学耳鼻咽喉科頭頸部外科 米倉修二先生講演会
①小児のスギ花粉症は薬物療法群では成人になってもアレルギー性鼻炎の方が多いのに対して、免疫療法群では成人の時にアレルギー性鼻炎が60%は治っています。
②小児の通年性アレルギー性鼻炎では、成人になった時に薬物療法群は45%改善なのに対し免疫療法群では77%が改善しています。
③シダトレンは小児のスギアレルギー性鼻炎によく効く傾向があります。
④重複感作のアレルギー性鼻炎(例えば、スギ、ヒノキ、ブタクサetc.)でも、スギアレルギー性鼻炎にはシダトレンは効きます。
⑤どのタイプのアレルギー性鼻炎でもシダトレンは効きます。
⑥1シーズン目に重症であったアレルギー性鼻炎でも、2シーズン目には中等
症くらいに、シダトレン使用群では症状の改善がみられています。
⑦通年性アレルギー性鼻炎には、舌下免疫療法は充分に効いているという医学的根拠があります。また、5才以上でも効く可能性が高いと考えられます。
⑧小児の通年性アレルギー性鼻炎は、血液検査でダニの感作があれば舌下免疫療法が効きます。具体的にはダニのアレルギー検査がクラス2以上もしくはクラス1でも治療対象になります。また、通年性アレルギー性鼻炎の症状が月単位で続いている(1ケ月以上)お子さんも治療対象になります。
舌下免疫療法の現状と最新知見について
舌下免疫療法の現状と最新知見について
千葉大学 耳鼻咽喉科 頭頸部腫瘍学 米倉修二先生講演会より
①ダニの舌下免疫療法の効果が出やすいのは
1)年齢が12才~17才です。
2)ダニのIgE検査でRAST4以上です。
3)血中の好酸球数が7%以上です。
②ダニのIgEが高い方が舌下免疫療法で口腔浮腫が出やすい傾向があります。
③高齢者のアレルギー性鼻炎の方も舌下免疫療法の適応に入ります。
④アレルギー性鼻炎の子供に舌下免疫療法を行いますと喘息やアトピー性皮膚炎を抑制することが出来ます。
⑤口腔アレルギー症候群の患者さんでも舌下免疫療法の治療を行えます。
⑥スギのアレルギー性鼻炎に舌下免疫療法をしますとヒノキのアレルギー性鼻炎にも60%くらい効果がでます。
⑦スギのアレルギー性鼻炎とダニのアレルギー性鼻炎の両方ある患者さんは~
1)スギを舌下免疫療法で治療して、ダニを皮下免疫療法でと考えてもいいでしょう。
2)ダニの舌下免疫療法を優先して考えても良いでしょう。なぜならばダニのアレルギー
性鼻炎の方が通年性で症状が重いためです。
⑧小児で、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎とアレルギーの病気が連続してみられますが、ダニの舌下免疫療法をおこないますとこれらのアレルギーの根本の治療をすることができます。
⑨口の中が乾燥する人は舌下免疫療法治療前にうがいをするとよいでしょう。
⑩小児では放課後家に帰ってからすぐに内服することが多いです。
⑪小児のダニの舌下免疫療法は治療開始後6ケ月位から症状の改善がみられます。
⑫舌下免疫療法の副作用の対応については
1)口の中や咽頭に腫れがみられた時は次の日に病院へ行きましょう。次の日に腫れが治っていれば治っていれば舌下免疫療法を再開すればよいでしょう。もし、受診した時に腫れが残っていれば舌下免疫療法は腫れが治るまでスキップして間隔を空けて再開すればよいでしょう。
2)舌下免疫療法でお腹の痛みが出る人は吐き出し法で対応するとよいでしょう。
吐き出し法とは、舌下して溶けた後に飲み込まずに吐き出してしまう方法です。
3)アテシアは初めのうちは舐めるとピリピリすることがありますが1~1.5ケ月で
消失するケースがほとんどです。
舌下免疫療法Q&A
舌下免疫療法Q&A
千葉大学 岡本美孝先生講演会
日本医科大学 大久保公裕先生講演会
①スギアレルギー性鼻炎とダニアレルギー性鼻炎どちらを優先しますか?
岡本美孝先生:症状の強さによって判断します。
大久保公裕先生:小児ではダニアレルギー性鼻炎の方が多いかもしれません。
②ミティキュア(ダニアレルギー性鼻炎の治療薬)とシダトレン(スギアレルギー性鼻炎の治療薬)の併用はどうでしょうか?
岡本美孝先生:慎重にします。出来ればどちらかのみの開始をすすめます。
大久保公裕先生:シダトレンの「舌下免疫療法」とダニ「皮下免疫療法」の併用なら問題ないでしょう。
③適応患者さんは?
岡本美孝先生:軽度のアレルギー性鼻炎でも治療対象になります。
大久保公裕先生:どの重症度のアレルギー性鼻炎に「舌下免疫療法」を行っても問題はありません。
④アレルギー性鼻炎と合併する気管支喘息への「舌下免疫療法」の対応は?
大久保公裕先生:ステロイドを内服しなくて発作がおきていない気管支喘息の患者さんや吸入ステロイドで発作がコントロール出来ている気管支喘息の患者さんが「舌下免疫療法」の適応になります。
⑤食物アレルギーを合併するアレルギー性鼻炎の患者さんが「舌下免疫療法」の対応は?
岡本美孝先生:アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの患者さんに「舌下免疫療法」は禁忌とはなりません。
大久保公裕先生:食物アレルギーをもつアレルギー性鼻炎の患者さんには普通に治療します。
⑥口腔アレルギー症候群を合併するアレルギー性鼻炎の患者さんの対応は?
スギはトマトと共通抗原をもっていますが、スギアレルギー性鼻炎の人がトマトを食べてもアレルギー性鼻炎の症状は出ません。ですので、
岡本美孝先生:口腔アレルギー症候群を合併するアレルギー性鼻炎の患者さんに「舌下免疫療法」を普通に治療しても問題ありません。
大久保公裕先生:上に同じ。
⑦重複感作抗原の患者さん(例えばスギアレルギー性鼻炎とダニアレルギー性鼻炎の両方にアレルギーのある患者さん)への対応は?
岡本美孝先生:スギアレルギーが一番ひどければシダトレン(スギアレルギー性鼻炎の治療薬)で治療すればよいですし、ダニアレルギー性鼻炎が一番ひどればミティキュア(ダニアレルギー性鼻炎の治療薬)で治療すればよいでしょう。
⑧ダニアレルギー性鼻炎は?
岡本美孝先生:花粉も飛散していない時期に鼻炎の症状が強ければ通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)としてミティキュアで治療すればよいでしょう。
岡本美孝先生:通年性アレルギー性鼻炎は抗ヒスタミン薬は効果がありません。「舌下免疫療法」の治療は3年~5年が良いでしょう。
⑨服用に適した時期は?
大久保公裕先生:朝が良いでしょう。何かあったら病院にすぐ行けます。患者さん自身がリラックスできる時間が良いでしょう。
⑩「舌下免疫療法」が気管支喘息の症状を改善出来ますか?
大久保公裕先生:ダニの気管支喘息にはミティキュア(ダニアレルギー性鼻炎の治療薬)が効果があります。
コナヒョウダニとヤケヒョウダニが50%ずつミティキュアに入っています。
⑪初回治療開始時の注意点は?
患者さんに治療を続けていただく説明をします。3~5年「舌下免疫療法」で治療して症状が良くなってその後にお薬を中止しても効果が持続します。
⑫いつから「舌下免疫療法」の開始が良いでしょう?
「舌下免疫療法」は効果が出るのに3か月かかります。
大久保公裕先生:スギアレルギー性鼻炎はスギの飛散時は避けましょう。毎年11月くらいまでに開始するのが良いでしょう。毎年6~12まで治療開始としても良いでしょう。
岡本美孝先生:スギアレルギー性鼻炎の炎症がありますと下気道の炎症もおきています。ミティキュアはスギ花粉飛散時期を避ける方が良いでしょう。
⑬口の中でミティキュアが溶けにくい場合は?
大久保公裕先生:事前に口の中を水でぬらしておいてからミティキュアを舌下すると良いでしょう。
⑭副作用の出た時は?
大久保公裕先生:軽微な副作用なら「舌下免疫療法」を続けても良いでしょう。
⑮「舌下免疫療法」中に妊娠した時は?
大久保公裕先生:「舌下免疫療法」は続けても大丈夫です。
⑯運動は?
大久保公裕先生:「舌下免疫療法」では汗をかくような運動は避けましょう。
⑰効果判定は?
大久保公裕先生:「舌下免疫療法」を開始してその後の花粉飛散時期に抗ヒスタミン剤が必要なければ「舌下免疫療法」の効果があったと考えて良いでしょう。
岡本美孝先生:「舌下免疫療法」で1シーズン目に効果がなくても2シーズン目に効果が出る患者さんが50%くらいいます。
大久保公裕先生:「舌下免疫療法」を2年間続けて症状の改善が実感出来なければ「舌下免疫療法」の効果がないと考えて中断するか中止を考えます。
大久保公裕先生:1シーズン目(初年度)の1/2は治療効果を実感出来ます。
大久保公裕先生:「舌下免疫療法」の患者さんに、抗ヒスタミン剤をあらかじめ処方しておいてアレルギー性鼻炎の症状が出ればその都度内服していただいても構いません。
⑱治療すべき症状は?
大久保公裕先生:気管支喘息発作がおきた時は「舌下免疫療法」は一時中止とします。口の中のかゆみやしびれ感は「舌下免疫療法」は中止する必要はありません。口の中のかゆみには抗ヒスタミン剤、口の中のしびれ感は「舌下免疫療法」をした後5分たってからのうがいをすると良いでしょう。慢性蕁麻疹が出たら「舌下免疫療法」は一時中止とします。普通の一時的な蕁麻疹なら抗ヒスタミン剤を内服して「舌下免疫療法」中止はしません。
⑲副作用
大久保公裕先生:シダトレンの重篤な副作用は蕁麻疹とアナフィラキシーです。ミティキュアの重篤な副作用は報告はなし。いずれも非重篤です。
舌下免疫療法の開始後のポイント
舌下免疫療法の開始後のポイント
日本医科大学 大久保公裕先生の講演会
①喘息発作時や喘息の症状が激しい時や急性感性症罹患時や体調の良くない時は舌下免疫療法は避けましょう。
②通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の治療薬のミキティアは
1) 治療開始後1~2週間で副作用が起きやすい傾向があります。
2) 治療開始後7日から口腔浮腫が出ますと56日くらい続くことがあります。
3) 治療開始後0日から口腔掻痒感や咽頭刺激感がでることがあります。
③スギアレルギー性鼻炎の治療薬のシダトレンは口の中の錯覚感がでることがあります。
④通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の治療薬のミキティアは舌下免疫療法開始後5ケ月経っていれば2週間くらい休薬してもその後に1000JAUから再開しても問題ありません。
⑤スギアレルギー性鼻炎の治療薬のシダトレンは最初のスギ花粉飛散終了時点で治療効果を判定します。
⑥通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の治療薬のミキティアは治療開始してから1年以上投与した時点で治療効果を判定します。
⑦スギアレルギー性鼻炎は26.5%、通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)は23.4%の頻度でみられます。
舌下免疫療法の開始後のポイント
舌下免疫療法の開始後のポイント
千葉大学 岡本美孝先生講演会
①通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)は
1) 頻度は23.4%でみられます。
2) 家の中のゴミの中のダニが原因です。(ヤケヒョウダニ、コナヒョウダニ)
3) 軽症から重症まですべて舌下免疫療法の対象となります。
4) ほこりっぽいところや動物との接触で症状が悪化します。
②舌下免疫療法は効果があって終了した場合もその後の効果が減少する可能性があります。
③スギアレルギー性鼻炎の治療開始は花粉飛散時期は避けた方がよいでしょう。舌下免疫療法は効果が出るまで3ケ月くらいかかりますので、毎年11月以前に治療開始することがよいでしょう。
通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の治療薬 のミキティア臨床試験の結果の概要
通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の治療薬
のミキティア臨床試験の結果の概要
千葉大学 今野昭義先生講演会
1) 時間が経つほど鼻症状の改善がみられます。
2) 通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー性鼻炎)の症状の重いものも改善し、軽いものも改善していきます。
3) 副作用はほとんどが軽症です。
「舌下免疫療法」(スギ花粉症最新治療)
「舌下免疫療法」(スギ花粉症最新治療)
日本医科大学 耳鼻科 大久保公裕先生 講演会
①舌下免疫療法の治療薬である「シダトレン」による「口腔内の腫脹」は、舌下してから2時間で消えます。
②舌下免疫療法中、体調の良くない時に「じんましん」が出ることが多い傾向がみられます。
③舌下免疫療法中、誤って多く飲んだ場合は、直ちに吐き出し、うがいをします。そして翌日は、あらためて前日の量を服用します。
④舌下免疫療法中、誤って服用を忘れた場合は、前の日の量を服用します。
⑤舌下免疫療法中、長期休薬した場合の、初回の投与(1ml)は改めてクリニックで医師が行ないます。
⑥舌下免疫療法中、持続する湿疹が出る場合は、「シダトレン」を中止します。この時の湿疹は治りにくい特徴があります。これに比べて、口腔内の副作用はすぐに消えます。
⑦「シダトレン」投与の時には「空らうち」を一回してから本番の「うち」をして下さい。
⑧舌下免疫療法中、スギ花粉症飛散時には、抗ヒスタミン剤の併用を考えますが、全身性ステロイドの投与をするケースは「シダトレン」の治療の対象にはなりません。
⑨舌下免疫療法は12月中旬くらいまでに始めるのがよいでしょう。(スギ花粉飛散時には治療開始はできません)
⑩舌下免疫療法開始後、IgEが増加しますので、スギ花粉症時には、スギ花粉症の症状が悪化する可能性があります。スギ花粉症の舌下免疫療法の効果が出るまで8週間かかります。
⑪舌下免疫療法は7~8月からの開始が良いでしょう。
⑫舌下免疫療法は気管支喘息の場合、吸入ステロイド薬はそのまま併用してよいでしょう。気管支喘息の場合、経口ステロイド薬を使っていない人が舌下免疫療法の良い適応です。
⑬「シダトレン」は本来、スギ単独(+)の花粉症が良いですが、複数抗原(スギ花粉以外)(+)のスギ花粉症でも良いでしょう。
⑭舌下免疫療法は継続期で1週間あいてしまった場合は、始めたばかりの時期でしたら初期に戻してから再開しますが、かなりたってからの時期では元に戻らず同じ量で再開します。
⑮舌下免疫療法中、口内炎が出来ましたらデキサルチン軟膏を併用しながら「シダトレン」を継続します。
⑯口腔底が腫れてかゆい時は、休薬して抗ヒスタミン剤を1週間のんで口腔底の腫れがとれるのを確認してから「シダトレン」を再開します。口腔の腫れを気にして抗ヒスタミン剤を使い続けながら「シダトレン」を使うことはありません。
⑰「シダトレン」治療中のインフルエンザの注射は問題ありません。
⑱「シダトレン」は1億回に1回の少ない割合でアナフィラキシーがおこることがありますが、とても少ない頻度です。
⑲「シダトレン」開始後の初回の花粉症の時期に以前と比べて症状が改善していれば、効果ありと考えて良いでしょう。
舌下免疫療法の実際と今後
舌下免疫療法の実際と今後
千葉大学耳鼻科 岡本美孝先生講演会
①何故、アレルゲンの免疫療法が必要かといいますと~
1)スギ花粉症の自然改善は少ないのが特徴です。
2)特にお子さんは一度アレルギー性鼻炎にかかりますと成人になってもアレルギー性鼻炎になっています。
3)薬物治療は対症療法です。
4)アレルゲン免疫療法は、唯一、スギ花粉症を治す治療法で、治療効果が長く続きます。
5)アレルギー性鼻炎にアレルゲン免疫療法をおこなっておきますと、将来ぜん息になることを予防することが出来るのです。
②舌下免疫療法(SLIT)
1)自宅での投与が可能です。
2)痛みがありません。
3)重篤な副作用が激減します。(死亡例の報告はありません。)
4)鼻水、くしゃみ、鼻閉、目のかゆみ、涙目にも効果があります。
5)舌下免疫療法開始後、最初の花粉の飛散期よりも翌年の花粉の飛散期の方がアレルギー性鼻炎の症状改善が大きくなります。
6)副作用は舌下免疫療法開始後の1ヶ月以内に多くみられますが、口腔内のかゆみなどの副作用は4週間以内に改善します。
7)舌下免疫療法の効果が出るまで8週間かかります。
8)局所の副作用の頻度が高いですが、多くは軽症です。
9)アナフィラキシー反応の報告は1億回に1回ととても少ない頻度です。
10)スギ血清IgE抗体をもっている人のうち30%しかお子さんではスギ花粉症は発症していません。
11)重症のぜん息や癌の治療を受けている人や全身をステロイド投与中の患者さんは舌下免疫療法の適応にはなりません。
12)妊婦さん、産婦さん、授乳婦さんの方は舌下免疫療法の適応外になります。
13)スギ以外の花粉のアレルゲンの特異的IgE抗体検査が高い人は舌下免疫療法は適応になりません。
14)舌下免疫療法を行ないながら、アレルギー性鼻炎の症状が出ましたら、通常のアレルギー性鼻炎の速効性のお薬を併用すると良いでしょう。
「舌下免疫療法」の基礎と実際
スギ花粉の最新治療法
「舌下免疫療法」の基礎と実際
日本医科大学 耳鼻科 大久保公裕先生講演会
①小学生のスギ花粉症は65%(スギRAST 2)みられます特徴は、発作性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉の3症状です。 小児期発症のものと成人発症のもの通年性のものと季節性のもの、屋内で症状がでるものと屋外ででるものと、アレルギー鼻炎にはそれぞれ特徴があります。
②「舌下免疫療法」の「禁忌」
次に該当する方は「舌下免疫療法」の治療は受けられません。
1)β2阻害薬(例、ミドリン点眼薬)を使用している患者さん。
2)「舌下免疫療法」開始時に妊娠している方。
3)重症の気管支喘息。
4)全身性の重篤の疾患(例、悪性腫瘍)。
5)全身性ステロイド治療中の患者さん。
③「舌下免疫療法」の治療の対象条件
1)長期間(2年間)の治療を受ける意志のある方。
2)全ての患者さんに効果が期待できる治療方法で無いことを理解していただける方。
3)効果があって終了した場合にその後に効果が減弱する可能性があることを理解できる方。
4)小児では12才以上のお子さん使用できます。
5)「舌下免疫療法」はスギ花粉症以外の他の花粉症では使用出来ません。
④「舌下免疫療法」の注意点
1)初回投与はクリニックで医師が行ないます。
2)舌下投与(舌べろの裏側に薬を摘下します)後は少なくとも2時間は激しい運動や入浴はさける必要があります。
3)投与をみあわせる時は次の時です。
A:気管支喘息発作や喘息の症状がひどい時。
B:抜歯後の口腔炎症の術後や口腔内に炎症がある時。
C:発熱時や寝不足時で口腔内のかゆみがひどい時。
D:発熱などで「舌下免疫療法」一時中断する場合は「舌下免疫療法」の再開は2週間くらいあけて再スタートします。
4)舌下投与使用を忘れた時には、最後に舌下投与した次の日の量で再開します。
5)舌下投与中の患者さんで途中妊娠した時には舌下投与(舌下免疫療法)は継続しても大丈夫です。
6)花粉症の季節(1~2月)には「舌下免疫療法」は始められません。開始するのは「11月」ごろからが良いでしょう。
7)服用を忘れた場合は、当日であればその日の投与量で投与して、前日忘れた場合は翌日の投与量を服用すれば大丈夫です。
8)服用を一時中断した場合「舌下免疫療法」開始後2週間までの間なら開始量に戻って再開しますが「舌下免疫療法」開始後3週間以降の場合は同じ量なのでそれで再開します。
⑤「舌下免疫療法」とアナフィラキシー
1)「舌下免疫療法」で舌下投与後数分でアナフィラキシーがおこることがあります。
2)「舌下免疫療法」のアナフィラキシーの特徴として
A:気管支喘息合併の方に多くみられます。
B:女性に多く見られます。
C:舌下後数分以内に症状が出るのが多いです。
D:ラテックスアレルギーがある方がいます。
⑥「舌下免疫療法」とステロイド
1)全身性のステロイドを使う可能性のある患者さんは「舌下免疫療法」の適応になりません。
2)万が一、一時的に全身性のステロイドを使用された時には全身性のステロイドの終了後、2週間あけてから「舌下免疫療法」を再スタートすると良いでしょう。
3)「舌下免疫療法」中に、ステロイドの点鼻薬はアレルギー性鼻炎の症状の目立つ時だけ使用すれば問題はありません。
4)「舌下免疫療法」投与中に全身性のステロイド(例えばセレスタミン)を内服する必要のある患者さんは「舌下免疫療法」の適応にはなりません。
5)「舌下免疫療法」投与中では気管支喘息の治療薬の吸入ステロイド薬は継続使用して問題はありません。
6)「舌下免疫療法」投与で口の中のかゆみが出た場合には抗ヒスタミン剤を一時的に使えば良いでしょう。
7)「舌下免疫療法」はonly therapy(単一治療)が良いでしょう。
8)スギの「舌下免疫療法」は夏から開始するのが良いでしょう。
9)「舌下免疫療法」開始前に呼吸機能のチェックが必要でしょう。ピークフローでしたら、男性600、女性400あれば大丈夫でしょう。
⑦「舌下免疫療法」の副反応
1)「舌下免疫療法」の副反応は3~8%です。
2)口腔内のかゆみや腫脹などの局所反応があります。
3)消化器症状として悪気や腹痛があります。消化器症状は投与量に依存しています。
4)致命的な副反応は今まで一例もありません。(死亡例はありません。)
5)アナフィラキシーの発現は1億回に1回くらいの頻度しかありません。
6)アナフィラキシーの局所の症状はほとんど軽微です。
7)アナフィラキシーは
A:皮膚粘膜症状として「蕁麻疹」や「紅斑」があります。
B:呼吸器症状として「呼吸困難」「喘鳴」「喉頭浮腫」「鼻炎」があります。
C:循環器症状として「低血圧」や「末循環器不全」や「めまい」があります。
D:消化器症状として「悪気」や「腹痛」があります。
8)「舌下免疫療法」中にアナフィラキシーを起こした場合は心疾患があってもアドレナリン0.3mgを筋注投与して良いでしょう。また、下肢も挙上して寝かせましょう。アナフィラキシーの処置をした後には入院が必要です。
⑧「舌下免疫療法」と「気管支喘息」
「舌下免疫療法」におけるアナフィラキシーは、気管支喘息の合併が多くみられます。「気管支喘息」のコントロールが良好な状態のなるまでは「舌下免疫療法」は開始しないことが大切です。
「子どものアレルギー性鼻炎診療のポイント」
国立三重病院 耳鼻咽喉科 増田佐和子先生講演会
子どものアレルギー性鼻炎とは~
①高い有症率があります。
②低い治癒率があります。(つまり、治りにくいということです。)
③発症年令が早まっています。
④幼児前半から「ダニ」に対してのアレルギー性鼻炎が始まります。
「ダニ」は0~3才でアレルギー性鼻炎が始まり
「スギ」は2~5才でアレルギー性鼻炎が始まります。
4才以上の大半が「ダニ」と「スギ」の両方のアレルギー性鼻炎があります。
⑤「喘息」(2~10才)の約80%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
⑥アレルギー性鼻炎合併の「喘息」の1/3で鼻炎症状が先に出現します。
⑦幼児期のアレルギー性鼻炎は成人期までの「喘息」発症と持続のリスクがあります。
⑧幼児期のアレルギー性鼻炎は成人しても安心は出来ません。
⑨アレルギー性鼻炎のお子さんは次のような問題があります。
1)外で遊べない
2)集中出来ない
3)夜よくねむれない
⑩幼児のアレルギー性鼻炎の保護者はお子さんのアレルギー性鼻炎にストレスを感じています。
⑪アレルギー性鼻炎はアデノイドや扁桃肥大に続く中等症以上の「いびき」の危険因子で睡眠障害をおこしてきます。小児のアレルギー性鼻炎の治療をしますと睡眠の質が改善して良くなります。
⑫アレルギー性鼻炎と成積低下は関連があります。成積が下がったお子さんはアレルギー性鼻炎あります。
⑬アレルギー性鼻炎と合併した「喘息」のお子さんは「喘息」による入院や受診が多い傾向があります。
⑭アレルギー性鼻炎は「喘息」の危険因子です。
⑮お子さんのアレルギー性鼻炎では、「くしゃみ」「水性鼻汁」「鼻閉」が必ずしも全てみられることが多い傾向があります。
⑯小児のアレルギー性鼻炎では、皮膚の症状が多くみられます。
⑰小児のアレルギー性鼻炎では、鼻出血が多くみられます。
⑱小児のアレルギー性鼻炎では、鼻や目をこすることが多くみられます。
⑲室内での花粉除去こそがアレルギー性鼻炎では大切です。40%が着衣に付着したもので、60%が換気によるものです。
⑳鼻噴霧用ステロイド薬はアレルギー性鼻炎症状の悪化した時だけではなく連日継続した方が良いでしょう。