元気な子供の育て方
猪苓湯(チョレイトウ)
下痢がひどい胃腸炎や出血を伴なった下痢に効果があります。
お腹の中の出血を止めて、下痢も改善させる働きがあります。
食中毒などの重症の胃腸炎にも効果があります。
胃腸炎の抗生剤と併用しますとより一層効果があります。
半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)
下痢や悪心(吐き気)や嘔吐が強くみられる時に内服すると症状が改善します。
みぞおちの不快感がある下痢にも効果があります。
排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)
皮膚に膿みがたまっている時に飲むと、皮膚の膿みの排出が促進されて皮膚の改善が良くなります。
何らかの細菌が皮膚に入って赤みのある膿みにはよく効きます。
膿みの排出を促進しますので、扁桃炎で扁桃腺に膿みがたくさんある場合にも効果があります。
白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
お子さんの皮膚に強い発赤がみられた場合にとても効果があります。
例えば、
①赤ちゃんで顔や眼の周囲の発赤が強いアトピー性皮膚炎のお子さんに大変効果があります。
②ツムラ消風散(22)を飲まれても改善しない皮ふの発赤にはこのお薬が効きます。
③皮ふに発赤が強くみられますと、お子さんはその部分がとてもかゆくなり、結果として皮ふのかきこわしが起こってしまいお肌がなかなかよくなりません。
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
お子さんのお肌に発赤や傷、膿みがみられる時にそれらを改善するのによく効きます。
例えば
①アトピー性皮ふ炎でお肌に発赤が見られていて、ひっかき傷がひどく膿みを伴った「とびひ」を合併しているお子さんがこのお薬を飲みますと、お肌がとてもよくなります。
特に顔のひどい重症のアトピー性皮ふ炎で効果があります。
②副鼻腔炎(ちくのう症)が治りにくいタイプのお子さんにとても効果があります。
副鼻腔炎では、鼻の中の排膿と粘膜組織の修復が重要ですが、このお薬はその働きを担っています。
鼻水が治りにくく、鼻粘膜に膿みがついているような鼻炎にも効果的があります。
消風散(ショウフウサン)
お子さんの肌の発赤を改善して、お肌の傷や乾燥状態を改善する効果があります。
例えば、
①アトピー性皮膚炎で赤みの強い発疹と乾燥した発疹とかきこわれの傷の発疹がみられる場合によく効きます。
②じんま疹や多型滲出性紅斑(特殊なじんま疹)で、お肌の発赤が強いお子さんに非常に効果があります。
小柴胡湯(ショウサイコトウ)
「過換気症候群で胸が苦しく息ができない時」や、「喉のつかえ感が取れなくて気になる」など、胸の自覚症状が強いお子さんに効果があるお薬です。
胸の様々な症状は、一種のストレスから症状を訴えていることが多く、元気がなく少し落ち込んでいる状態の時に出やすい傾向があります。
お薬でお子さんの心の負担を早く楽にしてあげることが大切です。
四物湯(シモツトウ)
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)より効果を高めたお薬です。
肌の乾燥や重症のアトピー性皮ふ炎に効果があります。
肌に潤いをもたらす効果が優れていて、乾燥が強いタイプのお子さんに適しています。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
体やお腹の中など、部分的に血流の良くない状態のお子さんに効果があります。
例えば、元気はあるけど何となくお腹が痛い、体調が良くない時に歯ぐきが腫れる、足が冷たいなどの症状のお子さんに効果的です。
お腹の痛みの特徴として、おへその上や下側、斜め下側を痛がったり不快感があったりします。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
「爪が割れやすい」「皮ふがカサカサと乾燥しやすい」「しもやけ」といった、指先や爪の血行が不十分なときに飲んでいただくと効果があります。
体の末端はもともと血流があまり良くない所ですが、最近のお子さんはこの部分の血流がさらに不十分となっているために、爪や皮ふの症状が出るのです。
これらの症状はぬり薬だけでは改善しませんので、内服薬がおススメです。
アトピー性皮ふ炎のお子さんに飲んでいただきますと、何より皮ふにうるおいが出て、改善がみられます。
また、頭皮の血流が不十分なタイプの円形脱毛症にも効果があります。
麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
ぜんそくの症状が重く(咳がひどい、咳込んで嘔吐する、呼吸困難があるなど)気管支が腫れている時に、この腫れをとるお薬です。
お子さんのぜんそく発作が急速に重くなった時に飲むと効果があります。
特に点滴治療が必要になるような重症のときに飲んでいただくと、症状が速く改善します。
このお薬は、短期に5~7日程併用するだけで大丈夫です。
麻黄湯(マオウトウ)
インフルエンザなどの感染症で急激な発熱や、寒気がある時に飲むと効果があります。
発汗を促進して解熱させるお薬なので、発熱の初期に飲みますと、1~2時間後に汗をたくさんかいて熱が下がります。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)
・主に症状の改善の難しいタイプの「ぜん息」や「咳ぜん息」に飲んで頂くと効果があります。
飲み始めの早い段階から咳の症状が著明に改善します。
・ぜん息の飲むお薬(ロイコトリエン拮抗薬:キプレスやオノンetc)や吸入ステロイド薬を併用すると効果があります。
・乾いた咳のぜん息のお子さんに適しています。
五苓散(ゴレイサン)
・下痢や嘔吐の胃腸炎の時に飲んで頂くと効果があります。特に嘔吐の多い胃腸炎では良く効きます。
胃腸炎で喉の渇きがあるお子さんに良く効きます。
・細菌性の胃腸炎では、胃腸炎の抗生剤と併用して飲んで頂くと効果があります。
・おしっこが近い頻尿や夜尿のお子さんに効果があります。
・なかなか治りにくい慢性頭痛のお子さんに効くことがあります。
小児の下痢と漢方治療
~小児の下痢と漢方治療~
下痢のタイプによって効く漢方薬に違いがあります。
①五苓散
健康なお子さんでは体の中に均等に水分が存在しています。ところが、バランスが崩れて例えばお腹に水分が偏ってしまいますと下痢になるのです。
このように体の一部に水分の偏りが出来てしまうことを漢方では「水毒」といいます。この状況を治すのが「利水剤」である「五苓散」なのです。
使うコツは、お子さんの舌を見て乾いていないことが必要です。水分は飲みたがるのに舌が渇いていなくておしっこが少ない下痢に使うと良く効きます。
何故、舌を見る必要があるかといいますと舌が渇いていたら「水毒」ではなく「脱水症」になっていますので点滴治療が必要になるからです。
五苓散は脱水症のない時の下痢に使えるのです。下痢の原因に食中毒のように細菌性の下痢では五苓散に併用して食中毒の原因菌である病原性大腸菌や サルモネラ菌やキャンピロバクターなど退治する抗生剤を併用すると良いでしょう。もちろん脱水症があれば点滴も必要です。 お腹だけでなく頭にも水分の偏りが出来ますと下痢を加えてめまいや頭痛の症状が出てきます。これらの症状を改善する利水剤の成分が入っていますので めまいや頭痛にも五苓散は効果があることがあります。
②猪苓湯
「口が渇いていていて」、「吐き気がなくて」、「症状がひどい下痢」に効きます。
重症の下痢に効きます。(抗生剤を併用しても良いでしょう。)
この中に含まれています「猪苓」は感染性の胃腸炎や食中毒の下痢を治す効果があります。
この中に含まれています「阿きょう」は止血剤として働きますので「出血を伴なう下痢」や「出血性の膀胱炎」にも効果があります。
もちろん、出血がなくても下痢がひどければ「猪苓湯」は効果があります。
出血がみられる炎症性の腸疾患(例えば、クローン病の軽症)にも効果があります。
とても良いお腹のお薬なのですが、唯一「吐き気」は治せませんので注意しましょう。
③半夏瀉心湯
「口が渇いていなくて」「吐き気のある」下痢に効きます。
かわかす作用のある「半夏」が入っていますので「口渇(のどのかわき)がない時」に使えます。
この中に含まれています「黄連」「黄苓」は下痢に効果がありますし、下痢に加えて元気がなくてみぞおちあたりが痛かったり、すっきりしない症状(心煩)にも効きます。
この中に含まれています「乾姜」は「吐き気」や「嘔吐」に効果があります。
④真武湯
クーラーをつけたままで「寝冷え」して起きた下痢や、冷たいものを飲んで起きた下痢に効果があります。
このようにお腹が冷えて起きた下痢にはこの中に含まれています「附子」がお腹を温めてくれることで効いてきます。
下痢で手足が冷えた時に使うと良いでしょう。
夏場における「冷え」の下痢にはとても便利なお薬です。
「附子」が入っていますのでこのお薬を使う目安としては脈が沈んで弱い時に使うと良いでしょう。(逆に脈が浮いて強い時には使えません。)
甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)
・夜泣きの赤ちゃんや小さいお子さんに良く効きます。
甘いお薬なので小さいお子さんでも飲めます。
・寝つきの悪いお子さんや睡眠のリズムが少しズレてしまっているお子さんにも効果があります。
・落ち着きのないお子さんにも効果があります。
・このお薬で症状の改善の少ないお子さんは、次の抑肝散(ヨクカンサン)が効果があります。
抑肝散(ヨクカンサン)
・夜泣きのひどいお子さん(例えば甘麦大棗が効かないタイプのお子さん)に良く効きます。
・落ち着きのないお子さんに効果があります。
・夜よく寝つけないなどの睡眠のリズムが乱れたお子さんに効果があります。
夜寝るのが遅いお子さんは興奮していることが多いので、このお薬で興奮をしずめてあげると、睡眠の質が改善します。
お子さんは早寝・早起きがベストな睡眠リズムです。
・オシッコが、やたら多いお子さんも効果があります。
(例えば一時間に6回くらいオシッコに行く、今オシッコをしたばかりなのに、またすぐにオシッコに行く)などのお子さんに効果があります。
・難治性のじんま疹に効果があることがあります。
通常の難治性じんま疹のお薬で効果がないお子さんに使用すると効果が出ます。
この場合、通常の難治性じんま疹の飲み薬に追加すると効果が良い印象をうけます。
・かんが強すぎて、お母さんの言うことを聞けないお子さんや反抗ばかりしてしまうお子さんにも良いで
しょう。
黄耆健中湯(オウギケンチュウトウ)
・水イボを繰り返しているお子さんに飲んでいただくと水イボの増えるのが止まります。
水イボの数がやたら多いお子さんにも効果があります。
薬で水イボが増えるのを抑えておいて、今ある水イボを摘除して取り去るのが良いようです。
・円形脱毛症のお子さんに著明に効く場合があります。
このお薬が効くタイプおお子さんは、飲み始めの比較的早い時期(2週間目くらい)から改善がみられますが、長めに服用します。
この場合も外用薬の併用も必要です。
・アトピー性皮膚炎で効果があるお子さんもいます。
・アレルギー性鼻炎に効果があります。
大建中湯(ダイケンチュウトウ)
・便秘のお子さんに効果があります。
特に「裂肛」(レッコウ)と言って肛門のところに放射状の亀裂が出来るタイプの便秘は重いことが多いので服用してみるとよいでしょう。
・通常の便秘のお薬と併用しても大丈夫です。
・おしりのところに出来る突起物で「見張りダコ」というものがみられることがありますが、この場合も便秘があるといきんでしまい「見張りダコ」がかぶれたり傷ついたりするので、その予防に効果があります。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)
・赤ちゃんのおしりの周囲に出来る「肛門周囲膿瘍」というオデキのようなものがありますが、この場合に服用すると改善します。
「肛門周囲膿瘍」は再発を繰り返しますと、症状によっては手術が必要になります。早めにこの薬を服用して治すことが大切です。