小児外科の漢方療法
石川院長監修 『子どもの心とからだ 漢方で すこやか元気に』
『子どもの心とからだ 漢方で すこやか元気に』
石川院長監修のお子様とお母様向けの小児漢方薬の
冊子が出来ました。
監 修 :石川功治(たんぽぽこどもクリニック院長)
イラスト:沢田真理(絵本イラストレーター 日本児童出版美術家連盟会員)
全国のクリニック・病院へ配布されております。(一部医療機関を除く)
小児外科では、最近は術前や術後の症状の改善や合併症の予防に漢方薬が使われるようになりとても良い治療効果を上げています。
最近の小児外科疾患における漢方薬のエッセンスを紹介させていただきます。
小児外科疾患においても、漢方薬が大いに役に立っているのです。
小児外科領域における漢方治療とEBM
~小児外科領域における漢方治療とEBM~
~久留米大学 小児科 八木実先生講演会~
①食道閉鎖
食道閉鎖の術後には「六君子湯」が効きます。「六君子湯」には喉頭食道機能障害を改善する効果があります。また誤嚥性肺炎の低下にも効果があります。
②誤嚥性肺炎
「半夏厚朴湯」には咳反射障害を改善して、誤嚥性肺炎の死亡率を低下させる効果があります。
③機能性ディスペプシア
胃もたれや食欲低下などの「機能性ペプシア」の症状に「六君子湯」が効果があります。 小児消化器外科の手術後にみられる「上腹部の不定悠訴」(ディスペプシア)を改善する効果も「六君子湯」にあります。
④心窩 部痛やお腹の痛み
お腹の痛い時には「芍薬甘草湯」を頓服で飲みますと速効性に効きます。起立性低血圧症で朝お腹が痛い時に頓服で内服しても効きます。
⑤胃食道逆流症(GERD)
「半月瀉心湯」や「六君子湯」が効きます。「六君子湯」には下部食道のクリアランスを改善させて通過を良くする効果があります。「六君子湯」が効かない時には、「茯苓飲合半月厚朴湯」が枳実が含まれるので胃の運動を良くするので効きます。
⑥排便障害と漢方
1)鎖肛手術後の便秘には「大建中湯」0.3g/㎏・日(分3)が効きます。「大建半湯」は鎖肛の手術後の便」の排泄を改善させるのです。
2)ウサギのような便をする便秘は「麻子仁丸」や「潤腸湯」が効きますが、お子さんには飲みにくいのが欠点です。
3)ウサギのような便をする便秘には、「大黄甘草湯」や「調胃承気湯」がお子さんに飲みやすい漢方の便秘薬です。
⑦慢性の下痢
「真武湯」と「人参湯」の併用が効果があります。
⑧肛門周囲膿瘍
赤ちゃんのおしりに出来るオデキのようなものですが、「排膿散及湯」が急性期の膿のたまった肛門周囲膿瘍にとても良く効きます。抗生剤を併用しなくても「排膿散及湯」単独治療で、肛門周囲膿瘍は良くなります。
⑨胆道閉鎖後の漢方薬
1)「インチンコウトウ」で肝機能が改善して良くなります。(利胆作用があります)
2)「インチンコウトウ」を内服していて黄疸が再燃しましたら「紫苓湯」を内服すると黄疸がよくなります。
⑩口内炎
「半月瀉心湯」や「桔梗湯」が良く効きます。
⑪リンパ管腫
「越婢加朮湯」で治療を初めて良くなってきましたら「黄耆建中湯」に切り替えて消失するまで治療を続けましょう。