インフルエンザ最新情報
インフルエンザの最新情報
インフルエンザの最新情報
東北大学微生物学分野 押谷 仁先生講演会
①ほとんどの人はインフルエンザの「H1N1」や「H3N2」に過去に感染したことがあり、基礎免疫をもっていますので、インフルエンザワクチンは成人は1回接種のみでOKです。ところが、お子さんは基礎免疫をもっていませんのでインフルエンザワクチンが2回接種が必要になります。
②本来、「鳥」や「豚」で感染しているインフルエンザウイルスが「人」に入ってきますとこれが「新型インフルエンザ」になります。本来インフルエンザウイルスは鳥は鳥同士で感染して、豚は豚同士で感染して、人は人同士で流行しているものです。
③アメリカでは生後6ヶ月以上のお子さんにインフルエンザワクチンを接種することを推奨しています。
④インフルエンザワクチンの有効率は
お子さんでは 50~60%
成人では 50~60%
高齢者では 30~40%
です。ただし、13~15才の年令層のお子さんはインフルエンザワクチンの有効性が低い傾向があります。
⑤高齢者ではインフルエンザワクチンの有効率は低い傾向にありますが、呼吸器症状、肺炎、入院、死亡などの重症化を防ぐ効果が大きいのです。
⑥新しい四価のワクチンはA(H1N1)(A(H1N1)pdm09)+A(H3N2)+B(ビクトリア)+B(ヤマガタ)とB型が2種類になったのが特徴です。
⑦抗インフルエンザウイルス薬は早期に投与されますと有熱期間が1日短縮されるという根拠があります。
⑧抗インフルエンザウイルス薬はある程度、インフルエンザの重症化を防ぐことが出来ます。
⑨インフルエンザ生ワクチン(フルビル)は小児に対して有効性が認められています。
インフルエンザ対策の問題点 -ワクチン、診断、治療-
インフルエンザ対策の問題点
-ワクチン、診断、治療-
神奈川県警友会けいゆう病院 小児科 菅谷 憲夫先生講演会
①乳児と13~15才の群でワクチン効果があまり認められていません。
1才~12才の群ではワクチン効果が良く認められています。
②2016年の2~3月頃にはA型とB型のインフルエンザワクチン効果がかなり下がります。
インフルエンザワクチンは接種後半年も効いていません。
③インフルエンザワクチンは、小児では入院防止効果がみられるので積極的に接種しましょう。
④インフルエンザワクチンA型には高い入院防止効果があります。
⑤フルミスト(インフルエンザ生ワクチン)はインフルエンザのH1N1/09には
効果がありませんでした。
2014~2015年で、フルミストは不活化ワクチン(インフルエンザワクチン)に比較して変異したA香港型インフルエンザに対する効果が高い証拠は得られていません。
⑥インフルエンザが証明された患者さんだけでみますと、タミフル治療群では
タミフルを使用していない未治療のプラセボ群に比べて、
A)羅病期間が21%短縮されました。
B)下気通感染(肺炎など)の合併が44%少ない傾向にありました。
C)入院も63%少ない傾向にありました。
⑦2015~2016年の今年はB型主体の流行がみられるでしょう。
また、3~4割はA香港型が流行するでしょう。
⑧インフルエンザB型の羅患歴のない小児では新しい四価のインフルエンザワクチンが有効でしょう。
⑨小児では、B型はA型と同じように重く、死亡者も出ます。
⑩成人も高齢者もB型には新しい四価のインフルエンザワクチンが50%と有効率が高いので、
インフルエンザワクチンの接種をするべきでしょう。
Influennza up to Date 2013
新潟大学 小児科 齋藤昭産先生④講演会
①トリインフルエンザA(H7N9)
1)死亡率が32%と重症なインフルエンザです。
2)死亡例は発症1週間以内に重症肺炎及びARDSに進行しています。
3)パンデミックの可能性があります。何故ならば、日本人には既存の抗体がないからです。(免疫がないからです)
②インフルエンザらしさとは
1)症状は突然出現します
2)発熱、筋肉痛、頭痛、不快感、食欲不振
③タミフル 治療経験が多く乳幼児にも使えます。
1~5才の急性中耳炎を予防しますが、嘔吐のリスクをあげます。
④リレンザ タミフル耐性(タミフルが効かない)インフルエンザに有効です。
⑤インフルエンザの抗ウイルス薬は
1)早期の治療により死亡率を低下させて入院日数も低下させます。)
抗ウイルス薬の使用開始にはインフルエンザ検査陽性を待たせなくても良いです。
3)抗ウイルス薬は、重症例では初熱後48時間を越えていても開始してよいです。
⑥日本ではインフルエンザワクチンの集団接種をしていた時期の高齢のインフルエンザや肺炎による死亡を抑制していたという集団免疫効果がありました。インフルエンザワクチンを接種しているお子さんがインフルエンザワクチンを接種していない人を守る集団免疫効果がインフルエンザワクチンにみられています。
インフルエンザワクチンの接種は個人ではインフルエンザの重症化を抑制して集団ではインフルエンザワクチン未接種の人を守る集団免疫効果があるのです。
「抗インフルエンザとインフルエンザワクチンの課題H7N9に備えて」
「抗インフルエンザとインフルエンザワクチンの課題H7N9に備えて」 神奈川警友会 けいゆう病院小児科 菅谷憲夫先生講演会
①発病防止からみたインフルエンザワクチンの効果はインフルエンザA型では1~6才ですと52%、6ヶ月~1才ですと80%です。
②A香港型のインフルエンザに対してはインフルエンザワクチンは効果が低い傾向にあります。健康成人ですと40~50%、高齢者の発病防止効果は11%とさらに低くなります。
③インフルエンザワクチンは65才以上の高齢者ではA香港型インフルエンザに対してはほとんど効果がありませんがB型インフルエンザには高い効果があります。
④「健康な高齢者」にインフルエンザを接種しますと重症化や死亡率が低下していますが、高齢者全体にこの傾向がみられるわけではありません。
⑤インフルエンザワクチンの学童集団接種の時期はこのおかげで高齢者の死亡率が下がっていました。これは「indirect protection」という予防効果です。
⑥インフルエンザワクチンの学童集団接種を止めてから1~4才児のインフルエンザでの死亡率が増えました。
(インフルエンザの脳炎や脳症が増えました)
これは、学童集団接種が幼児のインフルエンザの死亡や脳炎や脳症を抑えていたことになります。これも「indirect protection」という予防効果です。
⑦学童集団接種の時期は、インフルエンザによる学級閉鎖日数と欠席率も抑えて抑止力がありました。これを「direct protection」という予防効果です。
⑧アメリカは学童集団接種の方向に向かっています。
⑨現行のインフルエンザワクチンは卵の中で培養されて作られていますが、卵の中でインフルエンザウイルスの変異がおきていまいますので出来上がったワクチンの効果が下がってしまいます。インフルエンザ効果の低下がある現状で高齢者をインフルエンザで助けるには予防投与しかありません。もし、病院の病室内でインフルエンザの患者さんがでましたら個室に隔離することと同時に同じ病室にいた患者さんにはタミフルかリレンザの予防投与を同時に開始するのが最も良い対応策となります。
⑩H7N9の出現
1)このタイプのインフルエンザウイルスは致死率が33%と重症です。
2)まれですが、感染しますとほぼ重症化します。
3)脳炎をおこしやすく、パンデミックをおこしやすい特徴があります。
4)弱毒ウイルスなので鳥に感染しても症状は出ません。
5)耐性ウイルスにはT-705(Favipiravir)が効きます。
ただし、T-705は妊娠している女性には使えませんし、妊娠している女性の夫にも使えません。
⑪抗インフルエンザ薬
1)B型には吸入タイプのものがよく効きます。
2)A香港型インフルエンザにはタミフルがイナビルより解熱時間が短い傾向があります。
3)入院している患者さんにはタミフルの内服がラピアクタの点滴が良いでしょう。
4)ラピアクタの点滴は早期に使いませんと効果が出ませんので発熱後48時間以内が良いでしょう。
5)ラピアクタの点滴は投与24時間後には薬剤濃度がほとんど無くなりますので、インフルエンザの重症例では1回目の投与から24時間後に2回目の再投与をしても良いですし、さらに解熱するまで連日投与してもよいでしょう。