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↑↑スギ花粉症の「舌下免疫療法」

    「舌下免疫療法」(スギ花粉症最新治療)
「舌下免疫療法」(スギ花粉症最新治療)
日本医科大学 耳鼻科 大久保公裕先生 講演会

@舌下免疫療法の治療薬である「シダトレン」による「口腔内の腫脹」は、舌下してから2時間で消えます。
A舌下免疫療法中、体調の良くない時に「じんましん」が出ることが多い傾向がみられます。
B舌下免疫療法中、誤って多く飲んだ場合は、直ちに吐き出し、うがいをします。そして翌日は、あらためて前日の量を服用します。
C舌下免疫療法中、誤って服用を忘れた場合は、前の日の量を服用します。
D舌下免疫療法中、長期休薬した場合の、初回の投与(1ml)は改めてクリニックで医師が行ないます。
E舌下免疫療法中、持続する湿疹が出る場合は、「シダトレン」を中止します。この時の湿疹は治りにくい特徴があります。これに比べて、口腔内の副作用はすぐに消えます。
F「シダトレン」投与の時には「空らうち」を一回してから本番の「うち」をして下さい。
G舌下免疫療法中、スギ花粉症飛散時には、抗ヒスタミン剤の併用を考えますが、全身性ステロイドの投与をするケースは「シダトレン」の治療の対象にはなりません。
H舌下免疫療法は12月中旬くらいまでに始めるのがよいでしょう。(スギ花粉飛散時には治療開始はできません)
I舌下免疫療法開始後、IgEが増加しますので、スギ花粉症時には、スギ花粉症の症状が悪化する可能性があります。スギ花粉症の舌下免疫療法の効果が出るまで8週間かかります。
J舌下免疫療法は7〜8月からの開始が良いでしょう。
K舌下免疫療法は気管支喘息の場合、吸入ステロイド薬はそのまま併用してよいでしょう。気管支喘息の場合、経口ステロイド薬を使っていない人が舌下免疫療法の良い適応です。
L「シダトレン」は本来、スギ単独(+)の花粉症が良いですが、複数抗原(スギ花粉以外)(+)のスギ花粉症でも良いでしょう。
M舌下免疫療法は継続期で1週間あいてしまった場合は、始めたばかりの時期でしたら初期に戻してから再開しますが、かなりたってからの時期では元に戻らず同じ量で再開します。
N舌下免疫療法中、口内炎が出来ましたらデキサルチン軟膏を併用しながら「シダトレン」を継続します。
O口腔底が腫れてかゆい時は、休薬して抗ヒスタミン剤を1週間のんで口腔底の腫れがとれるのを確認してから「シダトレン」を再開します。口腔の腫れを気にして抗ヒスタミン剤を使い続けながら「シダトレン」を使うことはありません。
P「シダトレン」治療中のインフルエンザの注射は問題ありません。
Q「シダトレン」は1億回に1回の少ない割合でアナフィラキシーがおこることがありますが、とても少ない頻度です。
R「シダトレン」開始後の初回の花粉症の時期に以前と比べて症状が改善していれば、効果ありと考えて良いでしょう。
    舌下免疫療法の実際と今後
舌下免疫療法の実際と今後
千葉大学耳鼻科 岡本美孝先生講演会

@何故、アレルゲンの免疫療法が必要かといいますと〜
1)スギ花粉症の自然改善は少ないのが特徴です。
2)特にお子さんは一度アレルギー性鼻炎にかかりますと成人になってもアレルギー性鼻炎になっています。
3)薬物治療は対症療法です。
4)アレルゲン免疫療法は、唯一、スギ花粉症を治す治療法で、治療効果が長く続きます。
5)アレルギー性鼻炎にアレルゲン免疫療法をおこなっておきますと、将来ぜん息になることを予防することが出来るのです。

A舌下免疫療法(SLIT)
1)自宅での投与が可能です。
2)痛みがありません。
3)重篤な副作用が激減します。(死亡例の報告はありません。)
4)鼻水、くしゃみ、鼻閉、目のかゆみ、涙目にも効果があります。
5)舌下免疫療法開始後、最初の花粉の飛散期よりも翌年の花粉の飛散期の方がアレルギー性鼻炎の症状改善が大きくなります。
6)副作用は舌下免疫療法開始後の1ヶ月以内に多くみられますが、口腔内のかゆみなどの副作用は4週間以内に改善します。
7)舌下免疫療法の効果が出るまで8週間かかります。
8)局所の副作用の頻度が高いですが、多くは軽症です。
9)アナフィラキシー反応の報告は1億回に1回ととても少ない頻度です。
10)スギ血清IgE抗体をもっている人のうち30%しかお子さんではスギ花粉症は発症していません。
11)重症のぜん息や癌の治療を受けている人や全身をステロイド投与中の患者さんは舌下免疫療法の適応にはなりません。
12)妊婦さん、産婦さん、授乳婦さんの方は舌下免疫療法の適応外になります。
13)スギ以外の花粉のアレルゲンの特異的IgE抗体検査が高い人は舌下免疫療法は適応になりません。
14)舌下免疫療法を行ないながら、アレルギー性鼻炎の症状が出ましたら、通常のアレルギー性鼻炎の速効性のお薬を併用すると良いでしょう。

    「舌下免疫療法」の基礎と実際
スギ花粉の最新治療法
「舌下免疫療法」の基礎と実際
日本医科大学 耳鼻科 大久保公裕先生講演会

@小学生のスギ花粉症は65%(スギRAST 2)みられます特徴は、発作性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉の3症状です。 小児期発症のものと成人発症のもの通年性のものと季節性のもの、屋内で症状がでるものと屋外ででるものと、アレルギー鼻炎にはそれぞれ特徴があります。

A「舌下免疫療法」の「禁忌」
次に該当する方は「舌下免疫療法」の治療は受けられません。
1)β2阻害薬(例、ミドリン点眼薬)を使用している患者さん。
2)「舌下免疫療法」開始時に妊娠している方。
3)重症の気管支喘息。
4)全身性の重篤の疾患(例、悪性腫瘍)。
5)全身性ステロイド治療中の患者さん。

B「舌下免疫療法」の治療の対象条件
1)長期間(2年間)の治療を受ける意志のある方。
2)全ての患者さんに効果が期待できる治療方法で無いことを理解していただける方。
3)効果があって終了した場合にその後に効果が減弱する可能性があることを理解できる方。
4)小児では12才以上のお子さん使用できます。
5)「舌下免疫療法」はスギ花粉症以外の他の花粉症では使用出来ません。

C「舌下免疫療法」の注意点
1)初回投与はクリニックで医師が行ないます。
2)舌下投与(舌べろの裏側に薬を摘下します)後は少なくとも2時間は激しい運動や入浴はさける必要があります。
3)投与をみあわせる時は次の時です。
A:気管支喘息発作や喘息の症状がひどい時。
B:抜歯後の口腔炎症の術後や口腔内に炎症がある時。
C:発熱時や寝不足時で口腔内のかゆみがひどい時。
D:発熱などで「舌下免疫療法」一時中断する場合は「舌下免疫療法」の再開は2週間くらいあけて再スタートします。
4)舌下投与使用を忘れた時には、最後に舌下投与した次の日の量で再開します。
5)舌下投与中の患者さんで途中妊娠した時には舌下投与(舌下免疫療法)は継続しても大丈夫です。
6)花粉症の季節(1〜2月)には「舌下免疫療法」は始められません。開始するのは「11月」ごろからが良いでしょう。
7)服用を忘れた場合は、当日であればその日の投与量で投与して、前日忘れた場合は翌日の投与量を服用すれば大丈夫です。
8)服用を一時中断した場合「舌下免疫療法」開始後2週間までの間なら開始量に戻って再開しますが「舌下免疫療法」開始後3週間以降の場合は同じ量なのでそれで再開します。

D「舌下免疫療法」とアナフィラキシー
1)「舌下免疫療法」で舌下投与後数分でアナフィラキシーがおこることがあります。
2)「舌下免疫療法」のアナフィラキシーの特徴として
A:気管支喘息合併の方に多くみられます。
B:女性に多く見られます。
C:舌下後数分以内に症状が出るのが多いです。
D:ラテックスアレルギーがある方がいます。

E「舌下免疫療法」とステロイド
1)全身性のステロイドを使う可能性のある患者さんは「舌下免疫療法」の適応になりません。
2)万が一、一時的に全身性のステロイドを使用された時には全身性のステロイドの終了後、2週間あけてから「舌下免疫療法」を再スタートすると良いでしょう。
3)「舌下免疫療法」中に、ステロイドの点鼻薬はアレルギー性鼻炎の症状の目立つ時だけ使用すれば問題はありません。
4)「舌下免疫療法」投与中に全身性のステロイド(例えばセレスタミン)を内服する必要のある患者さんは「舌下免疫療法」の適応にはなりません。
5)「舌下免疫療法」投与中では気管支喘息の治療薬の吸入ステロイド薬は継続使用して問題はありません。
6)「舌下免疫療法」投与で口の中のかゆみが出た場合には抗ヒスタミン剤を一時的に使えば良いでしょう。
7)「舌下免疫療法」はonly therapy(単一治療)が良いでしょう。
8)スギの「舌下免疫療法」は夏から開始するのが良いでしょう。
9)「舌下免疫療法」開始前に呼吸機能のチェックが必要でしょう。ピークフローでしたら、男性600、女性400あれば大丈夫でしょう。

F「舌下免疫療法」の副反応
1)「舌下免疫療法」の副反応は3〜8%です。
2)口腔内のかゆみや腫脹などの局所反応があります。
3)消化器症状として悪気や腹痛があります。消化器症状は投与量に依存しています。
4)致命的な副反応は今まで一例もありません。(死亡例はありません。)
5)アナフィラキシーの発現は1億回に1回くらいの頻度しかありません。
6)アナフィラキシーの局所の症状はほとんど軽微です。
7)アナフィラキシーは
A:皮膚粘膜症状として「蕁麻疹」や「紅斑」があります。
B:呼吸器症状として「呼吸困難」「喘鳴」「喉頭浮腫」「鼻炎」があります。
C:循環器症状として「低血圧」や「末循環器不全」や「めまい」があります。
D:消化器症状として「悪気」や「腹痛」があります。
8)「舌下免疫療法」中にアナフィラキシーを起こした場合は心疾患があってもアドレナリン0.3mgを筋注投与して良いでしょう。また、下肢も挙上して寝かせましょう。アナフィラキシーの処置をした後には入院が必要です。

G「舌下免疫療法」と「気管支喘息」
「舌下免疫療法」におけるアナフィラキシーは、気管支喘息の合併が多くみられます。「気管支喘息」のコントロールが良好な状態のなるまでは「舌下免疫療法」は開始しないことが大切です。
    「子どものアレルギー性鼻炎診療のポイント」
国立三重病院 耳鼻咽喉科 増田佐和子先生講演会

子どものアレルギー性鼻炎とは〜
@高い有症率があります。
A低い治癒率があります。(つまり、治りにくいということです。)
B発症年令が早まっています。
C幼児前半から「ダニ」に対してのアレルギー性鼻炎が始まります。
 「ダニ」は0〜3才でアレルギー性鼻炎が始まり
 「スギ」は2〜5才でアレルギー性鼻炎が始まります。
 4才以上の大半が「ダニ」と「スギ」の両方のアレルギー性鼻炎があります。
D「喘息」(2〜10才)の約80%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
Eアレルギー性鼻炎合併の「喘息」の1/3で鼻炎症状が先に出現します。
F幼児期のアレルギー性鼻炎は成人期までの「喘息」発症と持続のリスクがあります。
G幼児期のアレルギー性鼻炎は成人しても安心は出来ません。
Hアレルギー性鼻炎のお子さんは次のような問題があります。
 1)外で遊べない
 2)集中出来ない
 3)夜よくねむれない
I幼児のアレルギー性鼻炎の保護者はお子さんのアレルギー性鼻炎にストレスを感じています。
Jアレルギー性鼻炎はアデノイドや扁桃肥大に続く中等症以上の「いびき」の危険因子で睡眠障害をおこしてきます。小児のアレルギー性鼻炎の治療をしますと睡眠の質が改善して良くなります。
Kアレルギー性鼻炎と成積低下は関連があります。成積が下がったお子さんはアレルギー性鼻炎あります。
Lアレルギー性鼻炎と合併した「喘息」のお子さんは「喘息」による入院や受診が多い傾向があります。
Mアレルギー性鼻炎は「喘息」の危険因子です。
Nお子さんのアレルギー性鼻炎では、「くしゃみ」「水性鼻汁」「鼻閉」が必ずしも全てみられることが多い傾向があります。
O小児のアレルギー性鼻炎では、皮膚の症状が多くみられます。
P小児のアレルギー性鼻炎では、鼻出血が多くみられます。
Q小児のアレルギー性鼻炎では、鼻や目をこすることが多くみられます。
R室内での花粉除去こそがアレルギー性鼻炎では大切です。40%が着衣に付着したもので、60%が換気によるものです。
S鼻噴霧用ステロイド薬はアレルギー性鼻炎症状の悪化した時だけではなく連日継続した方が良いでしょう。
   〜アレルゲンとアレルゲン免疫療法〜
岡山大学耳鼻咽喉科 岡野光博先生講演会

@血液検査でアレルギー反応がみられていないのに鼻の粘膜だけに鼻炎がおこることがあり、これを局所(または潜在性)鼻炎といいます。
これは、全身的にはアレルギーがなくて局所だけにアレルギーがある鼻炎です。
主に成人にみられますが、小児では少ない特徴があります。

A口腔アレルギー症候群(OAS)
1)花粉症に合併していることが多いです。
  ・ バラ科の植物の花粉症ではリンゴ・サクランボ・モモ・ウメ・ナシのOASの合併症がみられます。
  ・イネ科の花粉症ではトマト・メロン・スイカ・オレンジのOASの合併症がみられます。
  ・スギ科の花粉症ではメロン・リンゴ・モモ・キゥイのOASの合併症がみられます。
このうちイネ科の花粉症に舌下免疫療法が効きます。
(症状の改善及び併用薬を優位に優位に減量できます。)

Bアレルギー性鼻炎における昆虫アレルギー
アレルギー性鼻炎では、昆虫に対するアレルギー率が高く、ガ・ユスリカ・ゴキブリが多くみられます。

C職業性のアレルギー性鼻炎もあります。
例えばパン職人に生じた小麦粉鼻炎というものもあります。

D粉もんアレルギー(お好み焼き/たこ焼き)に混入繁殖したダニを摂取することにより生じる「アナフィラキシー」があります。これは小麦ではなくダニによる「アナフィラキシー」です。

Eオノンはアレルギー性鼻炎の症状が出始めに内服してもアレルギー性鼻炎の改善があるお薬です。
これはオノンが短期間で効果が出るためです。

Fアレルゲン免疫療法
1)抗ヒスタミン剤を内服しながら皮下免疫療法をするとよいでしょう。
2)免疫療法の長期作用として、
  ・新たなアレルギーを起こすのを抑制することが出来ます。
  ・アレルギー性鼻炎に対して免疫療法を行いますと3年後のぜん息の新規発症率を抑制することが出来ます。免疫療法は治療終了後も治療効果が継続しています。
  ・ハチ毒アレルギーには免疫療法がとても良く効きます。

G舌下免疫療法
1)副作用が少なく家庭内投与が出来ます。(死亡例の報告は1例もありません。)
2)適応は「アレルギー性鼻炎」と「ダニアレルギー」です。
3)禁忌(使用できないのは)
   ・B−ブロッカーを使用されている方
   ・妊婦さん
   ・不安定な気管支喘息
4)成人に優意な効果がありますが、小児(お子さん)でも有効です。日本では12才以上のお子さんが適応になります。
5)高齢者(60〜75才)のアレルギー性鼻炎にも適応があります。
6)多重感作例(例えば数種類の花粉にアレルギーがあるようなケースです。)でも効果があります。
7)14歳以上の小児のアレルギー性鼻炎に舌下免疫療法行いますと新規のぜん息の発症を抑制できます。さらに舌下免疫療法を終了後も治療効果が継続出来ます。
QOL向上を目指した花粉症治療と対策

東京慈恵医大 耳鼻科 松脇由典先生講演会

1.高校生で季節性アレルギー性耳鼻科(花粉症)は学習能力の低下や試験で良い成績を収められないことと関連します。

2.抗原回避

スギ花粉症で空気清浄器は次のようなメリットがあります。

@室内で有効です。特にへパフィルターが着いた空気清浄器がスギ花粉の回避に有効があります。

A鼻の症状だけでなく眼の症状(眼のかゆみ・流涙)にも効果があります。

B花粉が飛び終わった後も花粉症の患者さんはしばらく症状が出ますが、ヘパフィルターの空気清浄器を使っていますと、この花粉が飛び終わった後の症状も抑えることができます。

C(市販の)空気清浄器は花粉症に対して鼻の症状だけでなく眼の症状も改善します。

D空気清浄器の設置場所は寝室の枕元の近くがよいでしょう。

E花粉症の期間中は空気清浄器は24時間運転し続けることが大切です。
知って得する抗ヒスタミン薬の豆知識


NTT東日本関東病院 五十嵐敦之先生講演会


@第二世代の抗ヒスタミン薬は個人差がかなりあります。

Aこのため効果が不十分の時には、抗ヒスタミン剤を二剤に併用するよりも、同じ抗ヒスタミン剤の単独の増量の方が良いことがあります。
例えば一日一回一錠のものは、一日一回二錠に増量することで血中濃度が上がり効果が出ます。

B自動車の運転制限がないのは、アレグラ・クラリチンです。

Cザジテン・ジルテック(ザイザル)・クラリチンは痙攣の報告があります。

Dアレロック・アレジオン・セルテクトは幼児に使える痙攣のない、抗ヒスタミン薬です。

Eジルテック・クラリチンは妊婦さんの「蕁麻疹」に使えます。

Fクラリチン・アレグラは授乳しているお母さんにも使えます。

G高齢者にはアレグラ・アレジオンが使える抗ヒスタミン薬です。

H呼吸が最も速いのは、アレロック・ザイザルです。

I腎不全の患者さんには、アレグラ次いでアレジオン・エバステルが使えます。

Jエバステルは頓服として使用するのは不適切です。
エバステルは、かゆい時だけ頓服で内服しても効果がありません。
小児のアレルギー性鼻炎
小児のアレルギー性鼻炎

One Airway,One Diseaseの観点から

国立三重病院 増田 佐和子先生講演会より

1.幼児から10才にかけてのアレルギー性鼻炎が増えています。

2.アレルギー性鼻炎の抗体は
 
@ダニは0〜3才に増加しています。

Aスギは2〜5才に増加しています。

Bダニとスギは4才以上で両方のアレルギーが増加しています。

3.ぜん息の80%はアレルギー鼻炎を合併しています。

4.アレルギー性鼻炎の30〜40%は、ぜん息を合併しています。

5.小児期発症のアレルギー性鼻炎は、成人期のぜん息発症のリスクを高くします。
  例えば7才までにアレルギー性鼻炎がありますと、43才でのぜん息の発症が高くなります。
子どものアレルギー性鼻炎は成人になったときに、ぜん息になる確率があることに注意が必要です。

6.2〜10才のぜん息のお子さんの約80%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
  この中にはお母さんが気がついていない無症候性のアレルギー性鼻炎があります。

7.アレルギー性鼻炎合併のぜん息のお子さんの1/3が鼻症状が先行に発症しています。

8.アレルギー性鼻炎は2才くらいまでに発症します。

9.アレルギー性鼻炎合併のぜん息ではアレルギー性鼻炎の症状が悪化するとぜん息の症状も悪化します。

10.お子さんのアレルギー性鼻炎は増加していまして、その背景にはアレルギー性鼻炎の発症の低年齢化があります。

11.子どものアレルギー性鼻炎で困るのは

@鼻閉→口呼吸が常態化します。

A鼻汁→鼻をかまずにすすってしまいます。(自覚症状を感じにくい傾向にあります。)

Bお子さんが目や鼻をこするのがお母さんは困ります。

Cお子さん自身が目や鼻をこすってしまうのを困っています。

D外遊びやスポーツをすることができません。

E夜間よく眠れません。

Fお子さんにアレルギー性鼻炎がありますと、お母さんはよりストレスを感じてしまいます。

Gアレルギー性鼻炎は「いびき」の危険因子にもなります。
 お子さんの「いびき」の危険因子は、
 1位 アデノイド
 2位 扁桃肥大
 3位 アレルギー性鼻炎なのです。

Hお子さんのアレルギー性鼻炎を治療しますと、お子さんの睡眠の質が改善します。

Iくしゃみ・鼻汁・鼻閉以外にアトピー性皮膚炎などの皮膚の症状も多くみられます。

12.症状として注意することは

@朝起きた時に「くしゃみ」がありませんか?

Aお口を空けて過ごしてませんか?

Bアレルギー性鼻炎に加えて副鼻腔炎も合併している時には、両方の病気の治療が必要です。

C片側だけの膿性鼻漏は「鼻異物」のことがあり、見過ごされることがありますので注意しましょう。

D夜間の呼吸困難と「いびき」の場合は、アデノイドによる睡眠時無呼吸症候群がありますので、この場合には手術が必要です。

13.お子さんのアレルギー性鼻炎の点鼻ステロイド薬は症状が出た時だけに使うのではなく、継続して使用して炎症をしっかりと抑えることが大切です。

14.中等症以上のぜん息で、アレルギー性鼻炎もあるお子さんに

@キプレスの単独内服例では、鼻と咳の症状がよくなります。

A吸入ステロイド薬単独使用例では、咳は良くなりますが鼻は良くなりません。

B吸入ステロイド薬単独使用例では、アレルギー性鼻炎の改善にはなりませんが、キプレスの単独内服ですと、アレルギー性鼻炎もぜん息にも改善がみられます。

15.お子さんのアレルギー性鼻炎は症状の自覚や訴えが乏しいのが特徴です。

16.早期にお子さんのアレルギー性鼻炎の治療を開始しますと、鼻炎の増悪やその後のぜん息の重症化も防ぐことが出来るかもしれません。
アレルギー性鼻炎とぜん息


小児科領域におけるOne airway one disease の捉え方
群馬大学 荒川浩一先生 講演会より

@小児の「ぜん息」の75%がアレルギー性鼻炎を合併しています。

A小児の「アレルギー性鼻炎」の57%が「ぜん息」を合併しています。

B小児のアレルギー性鼻炎の症状としては「鼻汁」「鼻閉」「くしゃみ」が風邪以外でみられることが多い傾向にあります。

C小児期にアレルギー性鼻炎がありますと、そのお子さんが43才になった時の「ぜん息」の発症率が高くなります。

D1才前のアレルギー性鼻炎の発症率は8.9%です。

E小児のアレルギー性鼻炎は
1)アレルギー性鼻炎が先におきて、その後に「ぜん息」がおこるタイプ
2)「ぜん息」が先におきて、その後にアレルギー性鼻炎がおこるタイプ
3)アレルギー性鼻炎と「ぜん息」が同時におこるタイプ
の3つがあり、頻度としては1→2→3の順に多い傾向があります。

F1才の喘鳴(ぜいぜい)のリスクファクターは
1)お母さんにアトピー性皮膚炎があります。
2)出生時の体重が少し小さいことがあります。
3)帝王切開で生まれたお子さんであることがあります。

G6才の「ぜん息」の発症因子は
1)父親がアレルギー性鼻炎がありますと「ぜん息」発症は少なくなります。
2)帝王切開で生まれたお子さんです。
3)1才の時にアトピー性皮膚炎があります。
4)3才の時にアトピー性皮膚炎や「ぜん息」があります。
5)上気道感染(かぜ)を反復して繰り返しています。

H3才のアレルギー性鼻炎のお子さんが「ぜん息」を合併する率は30%です。

I3才ではアレルギー性鼻炎より「ぜん息」が多くなります。

J6才ではアレルギー性鼻炎が「ぜん息」より多くなります。

Kアレルギー性鼻炎の発症因子としては
1)3才のお子さんでは
A)お母さんのアレルギー性鼻炎があります。
B)1才の時のアトピー性皮膚炎があります。
C)出生時にペットを飼っていることがあります。
D)兄弟がいることがあります。

2)6才のお子さんでは
A)母乳栄養があります。
B)3才の時にアレルギー性鼻炎があります。

Lお子さんでは「ぜん息」の合併のない人に、軽症のアレルギー性鼻炎が多くみられます。

Mお子さんでは「ぜん息」の合併のある人に重症のアレルギー性鼻炎が多くみられます。

N吸入ステロイドのアドエアーは
1)アレルギー性鼻炎のあるお子さんの「ぜん息」は「ぜん息」も調子が良くないのでアドエアーの使用頻度が多くなります。
2)アレルギー性鼻炎のないお子さんの「ぜん息」は「ぜん息」は調子が良いので、アドエアーの使用頻度も少なくなります。

Oアレルギー性鼻炎合併の重症の「ぜん息」のお子さんでは、上気道(鼻)と下気道(肺)の両方に効果がある抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)でコントロールを良くすることが必要です。

Pアレルギー性鼻炎の症状がひどい時には、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン拮抗薬の併用が効果があります。
スギ花粉症の研究と実地臨床に新しいものを求めて


福井大学 藤枝重治先生講演会より


@2才未満のアレルギー性鼻炎は
1)スギ花粉症のおこる2,3,4月生まれのお子さんに多い傾向があります。

2)2才未満の2〜6%にアレルギー性鼻炎のお子さんが実際にいらっしゃいます。
(ちなみに20代でのアレルギー性鼻炎の患者さんは30%に増えています。)


Aアレルギー性鼻炎の人は食物に注意しましょう。
1)アレルギー性鼻炎に良い食べ物として
魚、ヨーグルト、乳酸菌、旬のフルーツ、おろしそば、にんじん、ほうれん草、ブロッコリー、シソ、てん茶、緑茶があります。
質素な食事でお米が中心のものが良いでしょう。

2)アレルギー性鼻炎に良くない食物として
肉、レバー、揚げ物、高たんぱくの食品があります。
油っこい食物の過剰摂取はアレルギー性鼻炎には良くありません。


B小児のアレルギー性鼻炎は
1)季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)には抗ヒスタミン剤を主に服用し、それでも症状がひどい時にはセレスタミンシロップを1週間内服すると症状が良くなります。

2)通年性アレルギー性鼻炎には抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)を主に使用されると良いでしょう。

3)アレルギー性鼻炎のお子さんは感染がとても多く、お子さんによっては年25回以上の感染をおこします。

4)アレルギー性鼻炎のお子さんは病院に来る日数がとても多いのが特徴的です。

5)年間15回以上の抗菌薬(抗生剤)の内服を受けていることが多いと、小児のアレルギー性鼻炎になりやすい傾向があります。

6)三種混合ワクチンを接種していると、小児のアレルギー性鼻炎になりにくい傾向があります。


C舌下免疫治療法(新しいアレルギー性鼻炎の治療法)
1)3年以上継続すると半分以上の方に症状の改善がみられ、内服薬の使用回数が減ってきます。

2)有効率は60%〜70%です。

3)副作用はあまりなく、咳やアトピー性皮膚炎の悪化など軽微なものが多く、重篤なものはありません。

4)5年間継続してその後中止しても、2〜5年間は効果が継続します。

5)プロバイオティクス(乳酸菌)を併用しますと、舌下免疫療法の効果が開始1年後からと早期にみられてきます。


花粉症が始まりました。
@2012年3月に入りまして花粉症(アレルギー性鼻炎)の症状を示すお子さんが急に増え始めました。
A今のところは透明な鼻汁がたくさん出るというタイプの花粉症のお子さんが多く、鼻づまりタイプのお子さんはまだ少ない印象です。
Bぜん息がもともとあるお子さんが花粉症になりますと、ぜん息発作や咳やゼイゼイが増えることがありますので、ぜん息のお子さんには花粉症の治療も大切です。
Cアトピー性皮膚炎がもともとあるお子さんが花粉症の時期になりますと、顔のアトピー性皮膚炎が悪化することが良くありますので、花粉の飛散している季節は外出から帰りましたら、お子さんの顔を温かいタオルで花粉をふき取る事もとても重要です。
D透明な鼻汁から黄色の鼻汁に変わった時は、お鼻に細菌が付着して、急性鼻炎になっていますのでこの時には抗生剤の飲み薬の併用が必要です。
Eすでにお薬で治療されている花粉症のお子さんが「いびき」や「鼻づまり」が悪化してきた時は「副鼻腔炎」(蓄膿症)の合併している場合がありますので副鼻腔炎の飲み薬の併用が必要になります。
F花粉症は今や1才の小さなお子さんから保育園児、幼稚園児、小学生と幅広くみられるのが現代っ子の特徴です。気になる方はクリニックに早めにご相談下さい。お子さんの花粉症は飲み薬や点鼻薬で、かなり良くなります。
   花粉症が急増中です
*2011年2月25日頃から花粉がかなり飛び始めたようです。
この日から花粉症のお子さんが急増しました。

*今年は「鼻水」「眼の充血」の症状が目立ちます。
「鼻づまり」のお子さんは少ないようです。

*アレルギー性結膜炎は、眼のかゆみと充血が出てきます。
症状が強い時には、内服薬、点眼薬だけでなくステロイドの点鼻薬を併用すると鼻から目にお薬が到達しますので効果的です。

*小さいお子さんのアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎が増えています。
お外から帰ったら、お子さんの顔、耳、首、手をあたたかい濡れたタオルでふいて、花粉をとってあげましょう。

*大きなお子さんでは、ゴーグルタイプのメガネを使用しますと、目に入る花粉を防ぐことができます。
もちろん普通のメガネでもある程度、花粉を防ぐ効果があります。
マスクができるお子さんは、鼻が隠れるように使用しましょう。
   小児のけいれんと抗ヒスタミン薬について
順天堂大学 新島新一先生  講演会より


@抗ヒスタミン薬の使用の際には、過去に「けいれん」があったかの確認が必要です。
A抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎の鼻汁やくしゃみの改善やアトピー性皮膚炎や蕁麻疹の痒みの改善に使われる薬です。
Bてんかんのある成人が、抗ヒスタミン薬を内服するとけいれん発作が増悪するので注意が必要です。
C10才未満のお子さんで、けいれんの既往がある場合には抗ヒスタミン薬の内服によってけいれんが誘発されますのでお薬の選択が重要です。
D熱性けいれんのお子さんの45%が抗ヒスタミン薬を飲んでいたとの報告があります。危険因子として抗ヒスタミン薬の内服があげられます。
E6ヶ月以上の乳幼児で「鼻汁」の症状に安全に使えるお薬はアレジオンドライシロップのみでこれ以外のお薬は避けたほうがよいでしょう。
アレジオンドライシロップはお薬が脳内に移行することが低い安全なお薬で乳幼児には最も適しています。
F小児において脳内移行に伴う「けいれん」を誘発しない安全なお薬は次のものがあげられます。
a)抗ヒスタミン薬の中ではアレグラ・アレジオン・エバステルがあげられます。
b)ぜんそくのお薬ではオノン・シングレア・IPDがあげられます。
Gけいれんの既往のあるお子さんでは「けいれんを誘発する可能性のあるお薬」は使用を避けることが大切です。
具体的には次のお薬に注意が必要です。
ザジテン・セルテクト・ポララミン・アレルギン・ペリアクチン・ヒスタール・アタラックス・レスタミン・タベジール
上記のお薬は脳内移行の多いお薬ですので、けいれいんの既往があるお子さんが服用するとけいれんを誘発しやすくなります。
   お子さんのアレルギー性結膜疾患の対応

東京女子医大 高村悦子先生 講演会より


花粉症に見られる「アレルギー性結膜炎」の治療は次のことがポイントになります。

●目の痒みや充血などのアレルギー性結膜炎の症状を改善するには点眼薬が有効です。
パタノールやリボスチンの軽いタイプの点眼薬は目にしみませんし、副作用がほとんどないのでお子さんにも安全に使っていただけます。
ザジテンやリザベンの点眼薬は目にしみるのでお子さんには避けた方がよいでしょう。

●点眼薬は花粉症と一緒で、花粉の飛び始める前から使用しておくと、目の症状を軽くすることができます。

●点眼薬で症状はおさまらない時にはステロイドの点眼薬が必要になります。
気をつけなければならないことは、ステロイドの点眼薬は眼圧が上昇して緑内障をおこすことがありますので眼科医の指導の元で短期間の使用がよいでしょう。

●目に花粉が入るのを減らすために、外出時はゴーグル型メガネや普通のメガネをかけると有効な予防手段です。
 
●人工涙液で目の中の花粉を洗うことも大切です。人工涙液は病院で処方されたものではなく、市販のもので十分です。
出来れば防腐剤の入っていない使い切りのタイプがよいと思います。

●重症のアレルギー性結膜炎を「春季カタル」といってお子さんに多い傾向があります。
軽度のアレルギー性結膜炎やアトピー性結膜炎にみられる目の痒みは少なく、目の痛みや視力低下がみられる傾向があります。
小学生から発症することが多いようです。

●お子さんの「通年性アレルギー性結膜炎」では花粉症のように目の痒みが出ることは少ないのですが、目が充血したり、こすったり、かすむなどの症状が目立ちます。

●目の周囲のアトピー性眼瞼炎は、プレドニン眼軟膏で症状をよくしておくと、目の中のアトピー性角膜炎も改善してきます。

アレルギー性鼻炎(花粉症)
以前には見られなかった小さなこどものアレルギー性鼻炎が著増しています。
症状は、鼻水・くしゃみ・鼻閉ですが、鼻汁・くしゃみタイプのアレルギー性鼻炎のお薬と、鼻閉タイプのアレルギー性鼻炎のお薬、の2種類あります。
適切なお薬を使い分けることが重要です。
両方のタイプの症状を示すアレルギー性鼻炎では、両方のお薬の併用が必要になります。
季節性のアレルギー性鼻炎がいわゆる花粉症と
呼ばれるもので、春先のスギやヒノキ、秋のブタクサなどが有名です。
これとは対照的に1年中鼻炎の症状を示すこどもさんがいます。
これを通年性アレルギー鼻炎といいます。
花粉症の治療で最も重要なことは、花粉が飛び始める前の時期から
アレルギー性鼻炎のお薬をのむこと(初期療法)です。
花粉が飛び始めて症状が出てからお薬をのむのと比べて、
はるかに症状を軽く出来るメリットがあります。

治りにくいケースでは
治りにくいケースでは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の
合併がみられることがありますので、この治療を
併用するとより効果が出る場合もあります。
こどもが自分で鼻のところを手でこすっている時には、
アレルギー性鼻炎を考えましょう。
気管支喘息やアトピー性皮膚炎のこどもでは、
アレルギー性鼻炎を併発してくるこどもが
多い傾向があります。

アレルギー性結膜炎
アレルギー性鼻炎のこどもに併発することが多い病気です。
目の白いところが赤く充血して眼球をこすってかゆがります。
眼球はこするとその表面に傷がつきやすいので、早めにお薬を使って
こするのを防ぐことが重要です。通常は目やには出ません。
目やにが出るときは細菌性の結膜炎の合併を考える必要があります。
続き
幼稚園や小学生の女の子で、猫にさわられた後に
アレルギー性結膜炎がでることが多く見られます。
おそらくは、猫アレルギーでひきおこされた
アレルギー性結膜炎だと思います。
治療は点眼薬が主体ですが、目のかゆみが
強いケースではかゆみ止めの、のみ薬が有効です。

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